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西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント
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西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント

 前回までは材料の「機械的性質」を見てきました。今回は「物理的性質」を紹介します。機械的性質は外部からの力に対する性質なので「動的な性質」になり、物理的性質は重さや熱、電気に対する性質なので「静的な性質」と言えます。

 では、代表的な物理的性質である重さから見ていきましょう。重さの度合いは密度で表します。国際単位系のSI単位ではkg/m3で表示されています。しかし、1m角の市販材料など存在しませんから、肌感覚でつかむ上では、1cm角のg/cm3でイメージするのがよいと思います。基準である水の1g/cm3に対し、鉄鋼材料は7.87g/cm3、アルミニウム合金材料は2.70g/cm3です。従って、同じ寸法であればアルミニウム合金は鉄鋼材料のざっくり1/3の軽さになります。重さは「密度」と、もう1つの「比重」で表しますが、比重は基準の水に対する比率なので、単位はつかずに数値のみの表示になります。

 重さは肌感覚でつかんでおくと便利です。例えば「1g」は1円玉の重さ、「1kg」は牛乳の1Lパックやビール大ジョッキの重さです。大ジョッキはビールが800gでジョッキが200gなので合わせて1kg。「100kgレベル」はお相撲さんの平均体重が150kg、「1000kgすなわち1tレベル」になると、自家用車がおおよそ1500kgです。この程度を知っておくと、議論の中で重さの話しが出てきたら感覚的にピンとくると思います。

線膨張係数を覚えよう

 次は熱について見てみましょう。材料に熱が加わると膨張します。電車のレールのつなぎ目に隙間が開いているのも、暑い季節にレールが伸びることへの対応です。材料ごとの伸びの度合いは「線膨張係数」で表しています。この係数を使えば簡単に伸び量を計算することができます。

 「伸び量」=「線膨張係数」×「元の長さ」×「上昇温度」の3つの掛け算なので、例えば線膨張係数が23.5×10−6/℃のアルミニウム材料の場合、長さ200mmの棒が10℃上昇すると、23.5×10−6/℃×200mm×10℃=0.047mmとなり、結構大きな伸びになることが分かります。また鉄鋼材料の係数は11.8×10−6/℃なので、長さ100mmで1℃上昇すると、伸び量はおおよそ1μm(1mmの1/1000)です。この数値は簡便的に「100、1、1」と覚えておくと便利です。このように温度により長さが変動するので、図面に示された寸法は「20℃」での保証値と定められています。精度の高い検査を行う検査室では、この20℃になるように設定されています。

 気を付けるべきは、樹脂の線膨張係数が相当に大きく、金属の10倍近くになることです。低密度のポリエチレンでは180×10−6/℃です。長さが100mmで10℃上昇ならば0.18mmの伸びが発生。これを知っていれば、樹脂部品の図面で公差が±0.05といった百分台の精度を要求するものがあれば要注意であることが分かります。恒温室で使うなどの配慮がなければ、この精度を維持することが難しいのです。

 次回も引き続き「静的な性質」について紹介します。