全1344文字
PR
西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント
西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント

 加工の大分類「切削加工」の最後は、研削加工を紹介します。研削加工の大きな特徴は工具にあります。これまで紹介した旋盤加工のバイトやフライス加工のエンドミル、穴開け加工のドリルは切れ刃が1個もしくは数個ですが、研削加工では砥粒と呼ばれる無数の硬く微細な刃先で削ります。身近な例では、刃物を研ぐ砥石やサンドペーパーは研削加工の工具です。この研削加工の特徴は以下の3点です。

  • [1]非常に滑らかな面に仕上げることができる
  • [2]高い寸法精度に仕上げることができる
  • [3]焼入れ焼き戻しをした硬い材料や超硬合金でも加工が可能

 一方、削り代(しろ)が少ないので加工時間を必要とします。そのため、研削のみで加工することはせずに、旋盤加工やフライス加工、焼入れ焼き戻しを行った後の仕上げに、この研削加工を施します。

 研削加工(広義)には砥石を使う研削加工(狭義)と、砥粒のまま削る研磨加工があります。砥石は砥粒を固めたもので、加工物の形状に合わせて、平面に削る平面研削と外径を削る円筒研削、穴の内面を削る内面研削があります。それぞれ専用の研削盤を使って加工します。平面研削盤のユニークな点は、磁力を使ったマグネットチャックで工作物の保持を行う点です。力を加えずに固定するため、精度の良い加工が可能になります。

 研磨加工は砥粒を固めずに砥粒をそのまま工具として使用します。身近な研磨材には歯磨き粉があります。微細な研磨剤を使用することで歯のホワイトニングを行います。機械加工としての主な研磨加工にはバレル研磨やサンドブラスト、バフ研磨、ラッピングがあります。バレル研磨はバレルと呼ぶ回転する研磨層に工作物と砥粒を投入することで、工作物の凸を除去します。バリ取りから鏡面仕上げまで広く活用されています。

 サンドブラストはサンドすなわち砂、ブラストは突風の意味なので、細かい砂を高速で工作物に噴射させて表面を削る加工です。バリ取りや錆(さび)落としに使い、石に文字を彫り込む加工もこのサンドブラストで行っています。

 バフ研磨は研磨剤を塗布した布を高速回転させて工作物に当てることでピカピカに仕上げます。

 ラッピングは定盤と工作物の間に砥粒と油を混合したラップ剤を入れて圧力をかけながら相対運動させることにより、高精度で滑らかな面に仕上げます。ブロックゲージやレンズの加工に使います。

 加工法を指示する図面表記には、ドリル加工を指示する「きり穴」と、この研削加工があります。研削加工は表面粗さ記号に「研削」と明記します。特に二世代前の旧JIS規格の表面粗さ記号は記号(▽、▽▽、▽▽▽)で表すため、その区分については経験に基づく暗黙のルールでした。そこで必要な場合には▽記号に研削加工を表記することにより、設計者の意図を加工者に伝えていました。しかし、現在のJIS規格では表面粗さの度合いを数値で表すため、特に研削加工と指示しなくても必要とする表面粗さに仕上げてもらうことが可能になっています。

 4月に入りました。通勤電車の中でも不思議と新入社員は分かります。この時期は期待と不安で胸が一杯のことと思います。今までとは生活も大きく変わる中で、元気な活躍を願っています。

 次回は型で形をつくる「成形加工」を紹介します。