現場力という言葉があるのに、設計力という言葉はなぜないのだろうか?──こうした疑問から、実践的な「設計力」を体系化したワールドテック代表取締役の寺倉修氏。デンソーの開発設計者として、日本初のオートワイパー用レインセンサーを開発して「レクサス」への搭載を実現するなど、20種類以上の車載用センサーやアクチュエーターを開発してきた同氏が、経験に裏打ちされた設計力の「魂」を語ります。
ワールドテック 代表取締役

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第78回 「提案型」の取り組みのススメ
2021年の幕が開いた。昨年(2020年)はコロナ禍一色だったが、それでも明るい話題もあった。小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に帰還。6年間で50億km以上の旅をして、火星と木星の間の小惑星帯にある小惑星「リュウグウ」の岩の粒を持ち帰った。
第77回 DRの仕組みに入る前の課題
「デザインレビュー(DR)がうまくいきません」──。こう相談を受けることが依然として多い。問題点を見いだす最適な方法は現場を見ることだ。そこで、「御社のDRを見学できますか」と言ってみたが、やはり無理であった。「DRで扱う内容は部外者には開示できません」と。もっともなことだ。
第76回 DRや決裁会議が設計レベルを上げる
2020年10月下旬、ポートメッセなごや(名古屋市)で自動車技術に関する展示会「オートモーティブワールド 2020」を見学した。検温や手の消毒、マスク着用と新型コロナウイルス感染症対策が厳重だったが、来場者は多かった。日本のボッシュ社長とコンチネンタル・ジャパン代表の講演会には数百人が参加していた…
第75回 トラブルの未然防止の難しさ
2020年10月1日に東京証券取引所(以下、東証)の売買システムが故障した。バックアップ装置への切り替えが機能しなかった。このような不具合は、今のシステムとなってから2度目とのことだ。2005年にもシステム障害が起きている。
第74回 法規制が技術開発を促す
米カリフォルニア州の知事が2020年9月23日、2035年までに同州で販売する全ての新車をZEV(Zero Emission Vehicle:無公害車)にすることを義務付ける知事命令に署名した。知事の命令を受け、同州大気資源局(CARB)が具体的な規制づくりに着手する。
第73回 在宅設計者の生産性
「生産性」が低いのではないか──。気になる新聞記事を目にした。在宅勤務の生産性が落ちているのではないかという報道があったのだ。実は生産性は定義が難しく、安易に議論できない。そこで、ここではいわゆる「効率」が高いか低いかに絞り、今回のテーマとして取り上げたい。
第72回 在宅設計者の心得
米宇宙開発企業SpaceX(スペースX)の新型有人宇宙船「クルードラゴン」が、約2カ月の宇宙滞在を経て、2020年8月初めに地球へ帰還した。民間初の有人宇宙船としての快挙だ。新型コロナウイルスにおびえる日々の中で、明るい話題である。
第71回 材料・加工専門分野の検討会
経済財政・再生相が2020年7月26日の記者会見で、在宅勤務を7割にすることについて再徹底を経済界に求める考えを示した。弊社の取引先のほとんどは、緊急事態宣言が解除後もずっと在宅勤務を続けている。商談はもちろん、請け負っている研修もWebを介して行うこととなった。「3密」を避けるために4月以降全面…
第70回 “コロナ後”の新人育成の課題
富士通がオフィス出勤率を最大25%に抑えるなど、出社を前提とした働き方の見直しが進んでいる。今や開発設計も在宅勤務ありきで取り組まねばならない。だが、事務などの作業に比べてかなり課題が多いことは否めない。
第69回 “コロナ後”の開発設計
日立製作所が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の緊急事態宣言解除後の新常態(ニューノーマル)を見据え、在宅勤務を踏まえた働き方改革を進める。これからは在宅勤務ありきで開発設計に取り組まねばならない。
第68回 品質不具合を未然に防ぐ
デンソーが自動車部品のリコールで2020年3月期決算は大幅減益との報道を目にし、こう思った。「品質不具合はなくならない」「在宅勤務で、品質不具合は減るのか、増えるのか?」と。
第67回 設計標準で見極める
新型コロナウイルスの感染拡大が続く。報道から、世界でワクチンの開発が急ピッチで進むが、臨床試験など時間を要しそうだ。
第66回 設計業務の効率化
時間外労働への罰則付き上限規制が、2020年4月から中小企業にも適用された。残業時間の上限は、原則として月45時間・年間360時間とし、臨時の特別の事情がなければこれを超えることはできない。だからといって、アウトプットまで減らしてよいわけではないだろう。つまり、効率的に働くことが重要だ。
第65回 突発的に発生する品質不具合への対策
新型コロナウイルス感染症への対応に官・民が共に追われている。こうした突発的な出来事に対処する手順が決まっているに越したことはないが、“言うはやすく行うは難し”。手探りの対応となる。
第64回 設計段階の影響力
「設計力」のセミナーを行うと、受講者からよくこう質問される。「設計段階の取り組みが品質・コストの80%を決める」と私が説明すると、「90でも70でもなく、なぜ80%なのですか」と。
第63回 開発スケジュールの守り方
国産初の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」。初号機の納入時期が、2020年半ばから2021年以降に先延ばしになると報道されている。これが事実なら、MRJの開発から数えると6度目の延期となってしまう。
第62回 100年に1度の変革期を乗り越える
年が明けて「一年の計は元旦にあり」との思いで過した人も多いことだろう。しかし、2020年が本格的に動き出して半月がたった今、一年の計が既に地平線の彼方に沈んではいないだろうか。「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」。
第61回 「世界No.1製品」をつくるノウハウ
ここ2カ月ほど本の執筆に追われていた。競合企業を打ち負かせる「世界No.1製品」を創り、そして造る開発設計プロセスについて、私の持つ知識と経験、そしてノウハウを余すところなく記述したつもりだ。このコラムと同じく、日本企業の設計レベルの向上に少しでも貢献したいというのが執筆の動機である。コラムとは違…
第60回 設計者へのエール
今年(2019年)のノーベル化学賞に旭化成名誉フェローの吉野彰氏らが選ばれた。吉野氏は企業での仕事の成果が受賞に結び付いた。親しみを感じた人も少なくないはずだ。
第59回 設計者の適性
「先行開発と量産設計は、それぞれ別の設計者が担当するのがよいか、それとも同じ者が両方を担当すべきか」──。仕事柄、こうした質問をよく受ける。先週もこの質問を受けた。