現場力という言葉があるのに、設計力という言葉はなぜないのだろうか?──こうした疑問から、実践的な「設計力」を体系化したワールドテック代表取締役の寺倉修氏。デンソーの開発設計者として、日本初のオートワイパー用レインセンサーを開発して「レクサス」への搭載を実現するなど、20種類以上の車載用センサーやアクチュエーターを開発してきた同氏が、経験に裏打ちされた設計力の「魂」を語ります。
ワールドテック 代表取締役

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第100回(最終回) 成果は前向きな状態から
「仕事が成功すれば幸せになれる」のではなく、「幸せだから仕事が成功する」という言葉に出合った。我が意を得たりだ。日経BP総合研究所のリポートに取り上げられたハピネスプラネット代表取締役CEO(最高経営責任者)の矢野和男氏の言葉である。
第99回 設計業務の働きがい
2022年5月1日付の日本経済新聞によると、人事コンサル大手の米コーン・フェリーがグローバル企業に20~21年に調査した結果、働きがいを感じる社員の割合は日本が56%と、世界平均を10ポイント下回り、23カ国中で最下位とのことだ。
第98回 市場環境に備える
何事も早めの準備が大切だ。早め早めに先を見越して準備することを「荒天準備」という。ものづくりにおいて荒天準備とは、生産量が徐々に増えて順風満帆のときにこそ、次に来る厳しい市場環境に備えることだ。そのために、開発設計の取り組みも荒天準備を大切にしたい。
第97回 先輩の背中に学ぶ
最近、気になることがある。「先輩の背中を見て学ぶ、などというのは古い考え方だ」と耳にするのだ。先輩の背中を見て学ぶことに重きを置かなくなったのではなく、先輩の背中を見て学ぶことが難しくなってきているのである。
第96回 管理者の大切な仕事
北京冬季五輪が終わった。始まるまでは頭の片隅にあるかないかだったが、しまいにはもう最終日かと思うぐらい見入ってしまった。なぜかと問われたら、躊躇(ちゅうちょ)なく答える。全力で取り組む姿がそこにあるからだ、と。選手の涙は、誇らしさや悔しさなどさまざまだ。しかし、五輪を目指し、長年努力を重ねてきた現…
第95回 設計リーダーが持つべき5つの視点
立春、光が日に日に明るくなり、コートの重みが増す。季節の巡りは変わらない。開発設計も同じだ。新型コロナウイルス禍にかかわらず、取り組みがぶれてはならない。コロナ禍が3年目になろうとする今、知らず知らずに、開発設計の取り組みにぶれが生じてはいないだろうか。
第94回 品質とコストの両立がブレークスルーを起こす
昨年(2021年)末に学生と意見交換する機会があった。製造業の開発設計業務についてだ。学生からは設計とはどのようなことをするのか、必要なスキルややりがいとは何かなど、さまざまな質問があった。
第93回 技術を成果に結びつけるもの
最近、印象深かった出来事がある。受講者の1人が、「デザインレビュー(DR)をDRする」とのフレーズにハッとしたと言った。研修の終わりに、DRの仕組みはこれで良いという完成形はないことにやっと気づいたのだ。その人にとっては青天の霹靂(へきれき)だったろう。
第92回 目標をやりきる3つの要素
米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が、アメリカンリーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。心から祝福したい。受賞発表が近づき、NHKのニュース番組が大谷選手にインタビュー。
第91回 品質不具合未然防止のボトムアップ
2021年10月末、名古屋市で開催された展示会「オートモーティブワールド」を見学した。新型コロナウイルス感染症対策を施した上で、多くの企業が技術を披露していた。
第90回 仕組みのルール化はスタートライン
前回は、ものづくりの不祥事と風土を取り上げた。今回は、風土と成果について取り上げる。
第89回 職場の倫理観を培うもの
ものづくりの世界で不祥事が続く。筆者はこの種の報道を見聞きしても、かつてほど驚かなくなった。そんなことがあったかと思い出すのに一苦労だ。このような思いは筆者だけではないだろう。
第88回 リーダーと管理者の役割
盆休みが明け、「さあ、頑張ろう」という読者は多いだろう。職場の全員がそうありたいものだ。中でも、リーダーの思いや取り組み姿勢が重要となる。リーダーの休み明けのありようが、職場のメンバーの思いや姿勢に大きく影響する。これまで取り上げてきた開発設計のありようは、実は「開発設計リーダーのありよう」を取り…
第87回 優位性を維持する取り組み
東京五輪で日本人選手の金メダルラッシュが続いている。メダルに手が届くまでには、心構えや取り組みの積み重ねがある。ある卓球選手は3、4歳の頃から五輪に出ると思っていたとのことだ。
第86回 品質「120%」達成を目指す取り組み
「コラムを第1回から欠かさず読んでいる」という声を聞いた。ありがたい限りだ。その方から「7つの設計力」の「7つが何か、いまだ取り上げられていないのではないか」とのご意見を伺った。
第85回 真の原因を見極めて対応策を決める
日経ビジネス2021年6月14日版の「賢者の警鐘」は、東レの日覚昭広社長が「『なぜなぜ』と掘り下げ、次の一手を決めてきた」ということを述べていらっしゃった。筆者は「まさにその通りだ」と膝を打った。
第84回 潜在的技術の顕在化
米Tesla(テスラ)の電気自動車(EV)「モデルS」が、2021年4月17日夜に木に衝突して炎上する事故を起こした。運転支援システムとの関係など、事故原因の解明が待たれる。
第83回 設計と製造の意思疎通
国立天文台などの研究チームが、昨年(2020年)に天の川銀河の観測データを公表した。天の川銀河は中心付近にある天体も、中心から約5万光年離れた外周付近の天体も、ほぼ同じ速度で銀河中心を軸に回っているとのことだ。宇宙にある質量の多くを占めると考えられる「暗黒物質」が大量にないと説明できない現象だとい…
第82回 新社会人・設計者へのエール
若葉が芽吹き始める4月に新社会人となった人にエールを送りたい。設計関係の部署に配属される人に心掛けてほしいことを、2つ取り上げる。
第81回 革新性と変化点とDRBFM
2021年度の打ち上げを目指す「H3ロケット」。本来は今月(2021年3月)末までの打ち上げ予定だったが、延期された。新型エンジンに亀裂やひび割れが確認され、設計の見直しが必要になったと報道された。H3は「H2Aロケット」の後継機で、従来の打ち上げ費用である1機当たり100億円を、半分の50億円に…