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 国産初の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」。初号機の納入時期が、2020年半ばから2021年以降に先延ばしになると報道されている。これが事実なら、MRJの開発から数えると6度目の延期となってしまう。

 先日、研修で設計職場の課題は何かと問い掛けたところ、「時間がない」という回答が結構あった。当初の開発スケジュールから遅れ、時間的に追い詰められてしまうという。三菱航空機(本社愛知県・豊山町)が抱えている課題は、多くの日本企業に共通する課題でもあるようだ。

 ものの開発は、往々にしてスケジュール通りには進まない。遅れを少なくするという視点で、経験を振り返ってみたい。

 開発スケジュールの遅れを抑えるにはまず、全体計画において根拠を踏まえたい。1つは、受注背景や商品仕様、ネック課題と対応に必要な技術、競合に対して優位性を確保する方針と見通し、開発組織と要員、開発費用と売り上げ見込みなどをまとめた開発計画書だ。もう1つは、受注から出図、量産開始までの開発スケジュールである。

* ネック課題 職場に備わっている基盤技術だけでは対応できない技術課題のこと。

 特に、開発スケジュールは、開発のスタートから終了までの業務と内容を見通せなければならない。課題と投入できるリソースを見越し、線を引く。豊富な経験を踏まえなければ、線の書き換えに追われる事態に陥る。製品の出来栄えに大きく影響することは言うまでもない。

 次に、ネック課題への対応を取り上げよう。自部署の基盤技術で解が導けるとは限らない。他の技術部や社外の専門企業に解を求めることも必要だ。解は1つではなく、複数の方策に出会うだろう。大切なことは、正しい対応策を選ぶことだ。技術的な妥当性のみならず、コストや将来性、量産を考慮した信頼性などを踏まえて総合的に判断する。間違った方策の選択からは、長期間の開発プロセスを経ても、駄作しか生まれない。

 方策の選定は慎重すぎてもいけないし、楽観的すぎてもダメである。慎重すぎると、出来たものはインパクトのないものとなり、すぐに次期製品の開発に取り掛かることになりかねない。楽観的過ぎると、課題の山と対応に追われる可能性が高くなる。

 言うまでもなく、選んだ方策は、顧客の満足も得なければならない。顧客へのプレゼンテーション力も大切だ。顧客が理解しないと、満足を得るどころか受注もできない。