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 時間外労働への罰則付き上限規制が、2020年4月から中小企業にも適用された。残業時間の上限は、原則として月45時間・年間360時間とし、臨時の特別の事情がなければこれを超えることはできない。だからといって、アウトプットまで減らしてよいわけではないだろう。つまり、効率的に働くことが重要だ。

 2018年の1人当たりの国内総生産(GDP)で、日本は主要先進7カ国の中で最下位に沈む。働き方に見直しの余地があるということだ。新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークを試行する企業が増えている。ITの導入に弾みがつき、働き方の効率化が進むのではないだろうか。

 実は製造業の開発設計こそ、労働時間の規制強化を踏まえて業務の効率化が必要だ。先のコラム(第4回)で取り上げたように、製造業は自然を相手とした「自然を加工する業」だ。「めったなことは起きない」とか「時間がないし、ここまでやったからよいだろう」といったことが通じない世界なのだ。

 開発設計部門のアウトプットである図面では、「図面に記されたことは全て理論で説明し、試験や実験で定量的に検証できなければならない」。時間切れだから、後は上司に決めてもらおうなどといったことは基本的に通用しない。図面に記されたことを理屈で説明できないと、市場クレームという形でしっぺ返しを食らう。労働時間の制約があるからといって、自然は「その辺でまあいいだろう」と見逃してはくれない。

 設計人員を増やせば何とかなるかというと、開発設計はそう単純なものではない。責任の所在がぼやけ、右往左往するだけになりかねない。CAE(Computer Aided Engineering)やモデルベース開発(Model base Development;MBD)など、さまざまなデジタル変革(Digital transformation;DX)の導入を進めなければならない。しかし、どのような手を打つにしても基本に立ち返ることが大切だ。それは、業務のムダをなくすこと。ムダの低減は生産現場だけではなく、開発設計の効率化に大きな効果がある。

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