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 若葉が芽吹き始める4月に新社会人となった人にエールを送りたい。設計関係の部署に配属される人に心掛けてほしいことを、2つ取り上げる。

 1つ目に心掛けてほしいことは、設計は「原理・原則に則(のっと)り、一歩一歩愚直に進める」ことだ。仕事柄、よく質問を受ける。その中に、「納期は短くなり、やることは多くなる一方。何か良い方法はないでしょうか」というものがある。これに筆者は「急がば回れ」と答える。その心はこうだ。「原理・原則をおろそかにせずに、職場にある設計手順に一歩一歩、愚直に取り組んでほしい。そうすれば、仕事が一段落したときに、最短の取り組みであったと気づく」──。

急がば回れ

 実は「急がば回れ」は、新人に限らずベテランにも大切にしてほしい言葉だ。以下は、急いだ結果、実際に遠回りしてしまった当社の事例である。昨年(2020年)からの新型コロナウイルス禍で、「3密」となる対面研修を見合わせる企業が多く、研修事業は苦戦した。挽回しようとWeb研修を立ち上げてきたが、最近はeラーニング教材の製作も請け負い始めた。

 「PowerPoint」で資料を作り、それにナレーション(解説)を入れていく。だが、初めて制作したときは、急ぐつもりの取り組みが、結果としてかなり遠回りとなった。ナレーションを入れる基本を踏まえなかったのだ。解説の文字を起こし、出来上がった解説文をチェックして、ナレーターが読み上げる。手っ取り早く済ませようと、ナレーターがぶっつけ本番で資料を見ながら読み上げた。 

 ところが、聞き返すと、分かりにくい表現や言葉の詰まり、同じ言葉の繰り返しなどが見つかり、「あれもダメ、これもダメ」となった。まずい箇所が1つあると、そのページを全面的に録音し直さねばならないなど、多大な工数を要してしまった。結局、手っ取り早い方法などない、ということが分かった。

 まずは、職場にある手順を着実に実施してほしい。こう言うと、「うちの職場の設計手順通りにやってもダメ」という人がいる。しかし、その手順はその職場が多くの経験を踏まえて獲得したものであり、職場の歴史を積み上げた結果だ。まずは、今ある手順を100%実行することが大切である。その上で、見直すべきところが見つかれば見直す。

 このコラムでこれまでに何度も取り上げてきたが、毎年わずかでも見直すことで、3年後、5年後には、より効果的な手順になる。設計プロセスとはそういうものだ。

 2つ目に心掛けてほしいことは、「仕事は準備が8割」ということである。これは設計業務も同じだ。準備が8割ということについては、第41回のコラムで取り上げたが、ここでは筆者の入社当時の経験を紹介したい。