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 国立天文台などの研究チームが、昨年(2020年)に天の川銀河の観測データを公表した。天の川銀河は中心付近にある天体も、中心から約5万光年離れた外周付近の天体も、ほぼ同じ速度で銀河中心を軸に回っているとのことだ。宇宙にある質量の多くを占めると考えられる「暗黒物質」が大量にないと説明できない現象だという。つかさどっている理論の解明が待たれる。

 人類は自然界の現象を数多く解き明かしてきた。だが、分かっていることよりも、理論的に説明しきれない未知の現象の方がまだまだ多いのではないだろうか。もちろん、世界中の研究者の努力で、これからも1つひとつ明らかにされていくであろう。

 ものづくりは研究に比べると泥臭い取り組みだが、基本は同じだと筆者は思う。何が研究と同じか。本コラムの第5回で取り上げた、「図面に書(描)かれたことは全て理論で説明でき、試験・実験で検証できていなければならない」という点だ。

 開発設計は、「なぜその構造にしたのか」「なぜその手法を選んだのか」「なぜその寸法でよいのか」と説明することが仕事だ。これらを全て説明できなければならないのだから、開発設計は大変なのである。

 もちろん、研究とは異なり、未知の理論を解き明かすのではなく、既に分かっている理論を応用することが主な取り組みだ。それでも、理論と検証を両立させる「理屈」による説明は容易ではない。

 筆者のつたない経験では、理屈で説明しきったと胸を張れるケースは欲目に見てもあまりなかった。何とか理論めいた説明はしたが、納期が来てしまったなどさまざまな背景はあったにせよ、自信がない箇所がいつも含まれていた。

 定量的な検証は、当時シミュレーションが発展途上で現物(試作品)での取り組みに終始した。予算は厳しく、評価する試作品を造れる数が限られた。結果、データ数が十分ではなかったり、ばらつきの上下限品にまで手が回らなかったり、検証めいたことに終始した。一言で言うと、苦しんだということだ。

 筆者が苦しんだ経験は、時が移っても程度の差こそあれ、今の多くの職場に当てはまるであろう。その証拠に、もっとうまい仕事のやり方があるのではないかと模索している人は多い。

 筆者は仕事柄、問い掛けられることが多々ある。そこから見えてくるのは、設計者の悩みは共通するということだ。筆者がしばしば受ける質問の中から、設計者に共通する「7つの悩み」を紹介しよう。