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 米Tesla(テスラ)の電気自動車(EV)「モデルS」が、2021年4月17日夜に木に衝突して炎上する事故を起こした。運転支援システムとの関係など、事故原因の解明が待たれる。自動運転化は、品質不具合が起きてしまったら、命に関わる故障(重致命故障)につながる可能性が高くなるのではないだろうか。

 とはいえ、クルマの自動運転化や電動化の技術は進化し続ける。日本でもトヨタ自動車とホンダが一定の条件下という制約があるものの、レベル2や3の自動運転機能を市販車に搭載した。自動運転化に向けた取り組みはこれからも加速していく。「不易流行」という言葉があるが、ものづくりで「流行」とは、進化する技術をキャッチアップしていくことだ。企業は、自動運転化や電動化の技術を取り入れていくことに余念がない。

 一方、技術環境がどのように変わろうとも忘れてはならないものづくりの基本が、「不易」である。不易とは、1個たりとも1カ所たりとも品質不具合を出さない取り組みのことだ。ものづくりがハードウエアかソフトウエアかにかかわらず、変わってはならない基本である。

品質問題は「不易」

 そうは言っても、品質不具合は「古くて新しい課題」から抜け出せない。筆者は仕事柄、機会あるごとに「品質不具合の指標は、右肩下がりになっていますか」と聞く。「そうなっている」と返ってくることもあるが、ほとんどの人は「うーん……」と考え込んでしまう。

 品質不具合は、技術の進化と表裏一体のようだ。ホンダが2040年以降の新車販売を全てEVと燃料電池車(FCV)にすると表明した。大きな変革が、そこに来た。今こそ、なぜ品質不具合が古くて新しい課題であり続けるのか、議論せねばならない。

 品質不具合がなぜ減らないかについて、筆者の考えは第50回のコラムで述べた。2年余りたち、自動車部品を取り巻く環境が大きく変化した今、改めて紹介したい。

 製造業とは「自然を加工する業」だ。自然は理論で動いている。故に、自然を加工する業の取り組みは、理論に沿っていなければならない。これが「品質不具合の本質」であり、「開発設計の普遍的な課題」である。すなわち、「図面に書かれたことは全て理論で説明でき、かつ試験や実験で理論が間違っていないことを定量的に検証できていなければならない」のだ。