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 立春、光が日に日に明るくなり、コートの重みが増す。季節の巡りは変わらない。開発設計も同じだ。新型コロナウイルス禍にかかわらず、取り組みがぶれてはならない。コロナ禍が3年目になろうとする今、知らず知らずのうちに、開発設計の取り組みにぶれが生じてはいないだろうか。ものづくりの基本である「不易流行」が、掲げるだけのお題目になってはいないだろうか。

 「流行」とは変化への対応である。例えば、クルマの電動化や自動運転化に合わせ、技術をタイムリーにキャッチアップし続けることだ。一方、「不易」は、技術環境がいかに変わろうと、ぶれてはいけない普遍的な取り組みであり、「ありよう」だ。

 今こそ、開発設計のありようにずれが生じていないか、やるべきことをなおざりにしていないか、振り返るタイミングであろう。このコラムは開発設計の不易、すなわち「ありよう」を数多く取り上げてきた。その中から、今回は新型コロナ禍でも大切な5つの視点を取り上げる。

設計リーダーが持つべき視点
設計リーダーが持つべき視点
(作成:日経クロステック)
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設計者としてぶれてはいけない取り組み

[1]図面を描くとは

 「図面は全社で描く」という姿勢が大切だ。設計者は品質や生産技術、生産など各部門の関係者全員とコミュニケーションを取らねばならない。コミュニケーションを取って関係者との「ベクトル」を合わせて描いた図面のレベルは高い。

 生産現場へ行くと、「待ってました」と言ってもらえるほどになれば、原価は下がり、不具合も減る。図面を描く設計者は、関係部署をまとめて引っ張るリーダーを務めねばならないのだ。

[2]品質不具合を起こしたら

 設計者は、なぜその品質不具合が起きたのか、真因(問題を引き起こした本当の原因)を振り返らねばならない。「技術上」と「管理上」の2つの視点からだ。

 暫定対策ではなく本対策では、技術上の真因を明らかにせねばならない。本対策品を投入せずに済ませるなどということはあり得ない。従って、技術上の真因はおのずと明確になる。

 課題は、管理上の真因を明らかにする取り組みであり、振り返りだ。設計者として、技術上の対策を打ったら「終わった、終わった」と安心してはいないだろうか。技術上の対策を打っただけではまだ道半ばだ。引き続き、管理上の真因について振り返らねばならない。

 失敗を、「技術がなかったからだ」と納得してしまうと、品質不具合はいつまでたってもなくならない。仕事のやり方のまずさである管理上の原因を明らかにする。さらに、管理上の原因を仕組みに落とし込むところまでをやりきらねばならない。

 すなわち、技術上と管理上の真因を明らかにする。管理上の真因は仕組みに反映する。ここまでしてようやく対策が完了だ。こうすれば品質不具合を減らせる可能性が高まる。

[3]目標値を決めるということ

 顧客からのニーズや商品仕様を聞き込み、その商品仕様を造る側の言葉である製品仕様に置き換える。これが設計者の大切な仕事だ。製品仕様とは設計目標値のことである。

 設計目標値の重要性は、言うまでもなく決めた値が競合に勝つかどうかを決めるところにある。いつ決めるのか。開発のスタート段階に決めねばならない。

 目標値を決めるポイントは、定量的な根拠に尽きる。①商品仕様と②自社の実力値、そして③競合メーカーの実力値の3つを考慮する。設計目標値が決まると、あとは一気呵成(いっきかせい)に、構想設計、詳細設計と進める。その取り組みはひたすら、決めた目標値を達成するがためにある。

 目標値はこれほど重要なのだ。そのため、設計の途中で見直すことはあってはならない。目標値決めにフロントローディングせねばならないのだ。