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災害検知とIoT

 現在の技術では、雨量をコントロールすることはできません。ただ、多くの被害は雨が降ることではなく、雨が降った結果発生する河川の氾濫や土砂崩れにより発生します。

 実は、私は今回の豪雨に関して気象庁が出した河川ごとの推移が非常に細かいことに驚きました。河川の水位については既にかなり正確に計測できていると思います。

 もちろん、水位計をもっと増やすとより正確に把握することができます。また、例えば1秒ごとといったリアルタイムで推移を把握することができれば、より正確な予測を立てることができます。センサーやコンピューターが低価格化し、無線技術が進化したことによって最近登場したIoT(Internet of Things)技術の導入も、より正確で早い段階での災害検知に役立つようになるでしょう。

 IoT市場の拡大に伴ってセンシング技術も進化しています。土砂崩れに関しても従来使われてきた傾斜センサーだけではなく、より低価格で広範囲を早期に検知できるように、カメラや音など人工知能技術と連携したセンシングの検知実験が行われています。

 また、第25回気象分科会の資料に記載している「ソーシャルなデータ活用」も非常に重要です。SNSや自動車など、個人が持つデータを集約することで、これまでにない規模のビッグデータができます。そのデータを人工知能によって分析し、活用した場合の効果は計り知れません。

それぞれの本分

 日本は美しい自然がある一方で、自然災害が多い国でもあります。今回ご紹介している国道交通省における第25回気象分科会の資料には、以下のような記述もあります。「今後も自然災害の脅威は増大し、少子高齢化等の進展により地域防災力の低下の恐れ」という記述です。

 まさに、少子高齢化という大問題と相まって、地方自治体において自然災害は深刻な脅威となりつつあります。人ではできないことがより多くなるため、最新技術を使って自動で効率良く、早い段階での防災が行われるように、情報伝達や避難、防災工事などさまざまな観点から街づくりを考え直さなければなりません。

 一方で、技術的に取り組むべき課題や取り入れる技術は今後、明確になりつつあります。2017年に日本IBMが人工知能を使った気象予測事業に参入しました。このように官公庁や大学だけではなく民間が防災事業に参入し、産学官連携が生まれることが理想的ではないかと思います。また、このコラムに書いたことは、将来の話としてではなく、現在の話として受け止め、一刻も早く実現するように、私も含めて各組織が取り組んでいかなければいけないと思います。