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 今回はSDGs(持続可能な開発目標;Sustainable Development Goals)で掲げられた目標の1つである「貧困をなくす」について考えてみたいと思います。

 まず、この目標で意味する貧困とはどのような状況を示すのでしょうか? 国連開発計画(United Nations Development Programme;UNDP)のWebサイトに、この目標に関する説明が記載されています*1。そこには、2015年時点で約7億3600万人が1日当たり1.90米ドル未満で暮らしており、多くの人々に食料や清潔な飲料水、衛生設備が不足していると記載されています。

*1 国連開発計画(UNDP)のURLは https://www.undp.org/content/undp/en/home/sustainable-development-goals/goal-1-no-poverty.html。

 つまり、この目標では、人類のおよそ10%に該当する、1日当たり1.90米ドル未満で暮らす人々をゼロにすることを目標としているのです。また、その80%は南アジアまたはサハラ砂漠より南のアフリカ地域に住んでいるということです。つまり、貧困には地域性があるといえます。

SDGsの第1の目標「貧困をなくす」
SDGsの第1の目標「貧困をなくす」
(出所:UNDP)
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貧困の原因と取り組むべき活動の方向性

 貧困になる原因は実にさまざまで複雑です。戦争や政変、天災、経済のバブル崩壊など多くの原因があり、1つの原因で語れないことが少なくありません。原因そのものを取り除くのは非常に困難で、多くの場合、単独の組織でできる規模の話ではなく、国際的なレベルで政治面などから取り組む必要があります。

 実際、SDGsに関するUNDPのWebサイトでも、この目標に対して原因を取り除く方法に関する記述はありません。原因を取り除くのではなく、既に貧困に陥った人々にできる活動を中心に紹介しています。

 私は縁があってアジア最貧国と呼ばれているバングラデシュに行った経験があります。首都であるダッカとチッタゴンを実際にこの目で見ましたが、実は日本人が貧困と聞いて想像する、食べるものがほとんどないという状況とは違いました。食べ物は意外に豊富にあります。市場にいけば魚や肉が並び、野菜が山のように積まれています。

 ところが、実際にスラム(貧困層が過密化して住む地域)が存在し、そこに住んでいる人々の生活環境はお世辞にも良いとはいえません。また、ダッカなどの都市部ではストリートチルドレン(路上で生活している子供)も多く見られます。国全体が貧困というよりも、格差が大きいという印象を受けました。この点が日本とは大きく違うところです。

 当然ですが、貧困家庭で育った子供は教育や就労の機会が限られます。逆に言えば、そうした機会が増えれば、彼らが貧困から抜け出せるきっかけになるのではないかと思うのです。