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 今回も前回に引き続き、SDGs(持続可能な開発目標;Sustainable Development Goals)で掲げられた目標の1つ「貧困をなくす」について考えてみたいと思います。

 世界で貧困地域と呼ばれている場所では、共通して不足しているものがあります。それは教育と資源です。ここで、教育の格差を解決するテクノロジーに関しては、SGDsの第4の目標である「質の高い教育をみんなに」で定義されているので後述します。

 そこで、資源について見ていきましょう。これまで資源は限られた地域でしか取れないという認識だったのですが、最近では変わりつつあります。その理由は、デジタル技術が進化しているからです。中でも人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)といった技術を使えば、より効率良く資源を開発できるといわれています。そればかりではなく、これまで採取できなかった資源も開発できる可能性が出てきました。

SDGsの目標1「貧困をなくす」
SDGsの目標1「貧困をなくす」
(出所:UNDP)
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 日本は資源が少ないと思われていましたが、近海に存在する化石燃料のメタンハイドレートを効率良く採取できれば、資源大国になると言われています。こうした中、資源エネルギー庁は「資源開発2.0」としてAIやビッグデータを活用した資源開発を検討しています*1

*1 資源燃料政策の検討の状況(PDF)は https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/025/pdf/025_007.pdf。

資源開発におけるAI活用

 資源といってもいろいろありますが、地域経済に大きな影響を及ぼすのがエネルギー資源と鉱物資源です。共にほとんどが地中に埋まっているため掘削を行う必要がありますが、多くの場合、そこに資源が埋まっているという確証はありません。ある程度の深さまでの土を採取し、それを専門家が分析して、地層ごとの年代や特徴を判定することで資源が埋まっているか否かを推定します。ただ、こうした従来型の資源開発には大きな資金と長い時間が必要です。そのため、かなり大きな規模の資源が眠っている地域でなければ採算が合わないという問題がありました。こうした土の分析を人工知能でできるようになれば、今まで気付かなかった資源を比較的簡単に見つけられるのではないかと期待されているのです。

 また、海底資源の探索では、電磁波を海底に向けて発射し、返ってきた電磁応答を分析する電磁探査を行います。この分析においても人工知能の活用が期待されています。

 こうした最新技術を使えば、貧困地域でも資源開発ができる可能性があります。実際、現在貧困地域とされている地域では、電池や半導体などでこれから必要になる鉱物資源の採掘が期待されており、実現すれば経済的に豊かになる地域が出てくるかもしれません。