全3245文字
PR

 2021年1月7日、東京と千葉、埼玉、神奈川の1都3県に緊急事態宣言が発出された。2020年は世界中が新型コロナウイルスによって活動の制限など大きな影響を受けた。明けて、2021年はどのような年になるだろうか。残念ながら、2021年も引き続き新型コロナとの戦いは続くと考えなければならない。

 実際にワクチンがどこまで効くのか、ウイルスが変異しながらどうなるかは、私の専門外なのでよく分からない。ただ、新型コロナが今年(2021年)中に収束するという確かなデータを示す情報はどこにもない。それどころか逆に、過去最高の感染者数を更新し続けている米国のような国もある。

 こうした状況下でリスクマネジメントの観点に立てば、2021年も新型コロナは引き続き日本社会へ大きな影響を与えるという最悪のシナリオを想定した上で、1年の計画を立てていく必要があるだろう。筆者は、2021年は「デジタルトランスフォーメーション(DX)元年」になると考えている。

マネジメントにはデータリテラシーが必須となる
マネジメントにはデータリテラシーが必須となる
(出所:PIXTA)
[画像のクリックで拡大表示]

 そろそろ、日本はどう耐えるかではなく、どう適応していくかに視点を変える必要がある。コロナ禍が1年以上続く状況で、ただ耐えるだけでは限界がある。それは補助金も同じだ。いつまでも補助金で全ての事業者を支援することはできない。それに気づいた経営者は、2021年度の目標の1つにDXを掲げ、大きなビジネスモデルの転換にチャレンジするだろう。いや、もう既に動き始めている企業が筆者の周りにも存在している。

 DXという言葉の意味は非常に曖昧だ。基本的にさまざまな事象をデジタル化することだが、それだけでは企業の利益に寄与するには不十分である。データを活用し、それを企業にとっての「価値の創造」につなげる必要がある。では、具体的には何を目指して取り組めばよいのだろうか。

フィジカル空間への依存度を下げる

 今、この世界には2つの世界がある。我々が存在するフィジカル空間と、インターネットを中心としたサイバー空間だ。新型コロナで長期にわたってフィジカル空間での活動が制限される中、フィジカル空間への依存度を下げなければ何もかもが遅くなり、最悪の場合は何もできなくなる可能性がある。そこで、できる限りサイバー空間を通じた情報交換を行うことで、可能な限りフィジカル空間への依存度を下げることを目指さなければならない。

 東京や大阪などの都市圏においては、通勤そのものが大きなリスクとなりつつある。よって、例えば、管理や点検に関してはセンサーやカメラを使ってリモートでも行えるようにしなければならない。

 まずは、この認識を持たなければ、今年1年で、どの組織でもとんでもない状況に陥る可能性がある。もちろん、全てがサイバー空間に移行すればよいというものではないし、コストなどの関係でできることにも限界がある。その上で、まずはリスクマネジメントの原点に立ち返り、自分たちの活動でどこがフィジカル空間に依存しており、どこがサイバー空間に置き換え可能かを検討すべきだろう。

 その際は、テクノロジーの専門家を入れて検討することを勧める。なぜなら、めまぐるしく進化する人工知能(AI)やロボットといったテクノロジーがどこまで活用可能かを知らなければ、どのような形が最適なのかが分からず、判断を誤ることになりかねないからだ。

 そして、サイバー空間への移行は、同時にサイバーセキュリティーのリスクを背負う可能性も考慮しなければならない。よって、幅広い知識を持つ専門家が必要不可欠だ。

DXで正確に変化を把握し、迅速に判断する

 新型コロナは人類に強制力を持った変化をもたらした。その影響で世界は混沌のさなかにある。これまで簡単に手に入ったものが入手困難になる。一方で、特定の物が余り、在庫の山となる。また、人々が巣ごもり中心の生活となり、フィジカル空間で支払っていたサービス代を支払わなくなった代わりに、家の中でぜいたくを求める厳選消費の需要が伸びる。こうした状況を好機と見て、新しいテクノロジーを駆使したベンチャー企業がこれまでにないビジネスモデルを掲げて参入する。

 変化の例を挙げるとキリがない。こうした混沌の中において重要なのは、時代の変化をいち早く読み、それに合わせて迅速に動くことだ。そのために、センシング技術やデータ分析技術を使わない選択肢はない。

 センシングを行うことは、優秀な技術者またはパートナーとなる専門家がいれば難しいことではない。難しいのは、集まったデータを分析し、それを生かせるデータリテラシーを組織として身に付けることだ。経営者は言うまでもなく、組織において判断してマネジメントする立場の人は、データをさまざまな方面から分析し、それに合わせて今後の方針を迅速に決める力を付けなければならない。電子メールを扱うかのようなごく普通の感覚で、だ。そうしなければ、気がついたときには既に手遅れという状況になるだろう。