全1641文字
PR

 ロシアによるウクライナへの侵攻以降、天然資源を中心に世界を取り巻くサプライチェーンは混乱を極めている。

 特に欧州などは、飛行機や船の移動制限もあり、予定通りに荷物が届かない上に、輸送料金や保険料の引き上げなどが相次いでいる。当分この混乱は収まりそうにはなく、心情的に東西諸国の政治的対立は今後深まるばかりだろう。

ダイナミックサプライチェーン管理の重要性

 まず、今後起こると思われるのが、サプライチェーンのローカル化だ。既に、足元の円安の影響もあり、海外ではなく日本に生産拠点を置き、日本で造ったものを国内で輸送するという動きが始まっている。これは日本から見れば、国内の中小企業にとってはチャンスだ。人材と新しい技術を取り入れて生産を効率化すれば、さまざまなビジネスチャンスが訪れる可能性がある。

 また、特に半導体などでは台湾への依存度が高まっている。台湾に関しても情勢は安定しているとは言いがたく、中国との間で政治的なリスクは存在する。

 そう考えると、サプライチェーンは今後、海外への依存度を適正化すると同時に、世界情勢がどのように変化しても、いつでもどのようにでも変更できるように高いレベルのリスクマネジメントを行う必要があると言える。

 例えば、仕入れ先候補をあらかじめ複数検討しておき、輸送手段を複数用意しておく。ある程度の在庫を置く場所を確保し、在庫は「最小限にする」のではなく、「最適化する」という概念が必要になる。それに加えて、さまざまな変更に伴うコストと利益への影響を早急に算出できるようにしておくことが必要だ。そのためにはデジタルツールでの管理が必要なことは言うまでもない。

 将来に備えるリスクマネジメントという観点に立てば、今すぐ行動が必要になることは多く、いつ何が起こるかもしれない状況下で、ゆっくりと検討している余裕はない。

 中でも、今後最も混乱が予想されるのが半導体だ。新型コロナウイルス禍の影響に加えて、原料となるレアアースは政治的駆け引きの材料となっている。実際に、これまで容易に手に入ったICやセンサーなどが入手困難になっているのは知っての通りだ。結果として、半導体の流通における混乱は自動車業界などさまざまなところに影響が出ている。