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 「DIY-IoT(Internet of Things)」が注目を集めている。商品の検品や、機械の故障検知、商品数のカウントなどをIoTによって行うために、必要なセンサーや制御装置などのデバイスを自社で開発して利用することをいう。

 自社でセンサー装置を作るといっても、制御ICなどを含む全ての部品を自作するわけではない。最近では、「Arduino」や「Raspberry Pi」といった小型の制御機能を持つコンピューター(マイクロコントローラー)を使用し、Pythonなどの言語で目的に最適化されたセンサーデバイスなどを自作することが流行している。

 Arduinoのようなマイクロコントローラーは、専門のハードウエアの知識がなくても開発環境が設定しやすいように配慮されており、開発ソフトウエアも無料で提供されている。こうした事情もあり、ソフトウエアの知識があれば、簡単なセンサーデバイスを開発することは今や難しくない。

 例えば、Arduinoに温度センサーを付ければ簡単に温度を計測することができる。あとは、デジタル化されたデータをSDカードに保存したり、Wi-Fiモジュール経由でインターネット上のサーバーに送信したりするだけで立派なIoTデバイスになる。

 また、「HC-SR04」のような超音波距離センサーを接続すれば、物体の検知や物体に対して2~400cmまでの距離測定ができる。この場合、ハードウエア面で行うことはArduinoとセンサーを4本のリード線でつなぐだけだ。

Arduinoと超音波距離センサー(HC-SR04)の接続例
Arduinoと超音波距離センサー(HC-SR04)の接続例
(作成:筆者)
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 最近では、製造業においてもセンサーデバイスのみならず、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)などの制御装置までArduinoやRaspberry Piを利用して自作する工場が増えてきた。

自社でIoTデバイスを開発する理由

 IoTデバイスを自作する企業が増えている理由はいくつかある。

コストが低いIoTを実現できる

 IoTデバイスは大規模な工場の場合、数百台以上となることも珍しくない。そのため、例えば1台のセンサーデバイスに対し、既製品を購入した場合と自作した場合のコストの差が5万円だとすると、200台で1000万円の差となる。パソコンやサーバーなどとは異なり、IoTデバイスは台数が多くなりがちだ。従って、長期的な交換も考えると、中小企業だけではなく大企業においてもかなりのコスト削減につながる。

カスタマイズが可能

 既製品のデバイスでは、カスタマイズが難しい。また、自分たちでカスタマイズした場合、メーカーからの保証が切れてしまってメンテナンスできなくなる可能性もある。

 これに対し、自分たちでデバイスを製作した場合には、カスタマイズや最適化が自由にできる。例えば無線方式1つとっても、最初はWi-Fiによってネットワークへ接続する。だが、野外などの場所にも設置することになった場合、Low Power Wide Area(LoRA)や5G(第5世代移動通信システム)などの無線方式で接続する必要が出てくるかもしれない。そうなったときに、Arduinoと無線モジュールの組み合わせで自作した場合は、無線モジュールを取り換えるだけで比較的容易に最適な無線方式に切り替えることが可能だ。