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SDGsはリアルな経営リスク

 SDGsについて、日本ではまだ認識が薄いのが実情です。現時点では、SDGsという言葉を知っていても、「CSR(企業の社会的責任)の一環だろ?」「国連が言っているから、とりあえずスタッフ部門でやっておけ」という程度で考えている経営者が多いのです。

 しかしながら、SDGsはCSRとはレベルの違うものです。取り引きを突然切られたり、原料価格が跳ね上がったり、供給が途絶えたりなど、「リアルな経営リスク」だからです。

 2017年11月、日本経済団体連合会(経団連)はSDGsの達成を前面に押し出す形で、7年ぶりに「企業行動憲章」を改定しました。この憲章は企業が遵守、実践すべきとしている倫理規定です。今回の改定は、日本の経済界が「持続可能な社会の実現に向けて真剣に取り組む」という意志を明確に示したものと言えるでしょう。

 これからビジネスのルールは、「環境」から「サステイナビリティー」へと変わります。多くの企業で、SDGsを念頭に持続可能なビジネスモデルへの転換が迫られることでしょう。

 SDGsはリスクであると同時にチャンスでもあります。

 例えば、SDGsの7番目に「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」という目標があります。日本では風力や太陽光発電はコストが高いというイメージが強い。でも、世界では、今や再生可能エネルギーは「安価な電力」へと変わりつつあります。

 思い切ってエネルギーを切り替えることで、中・長期的にはコスト面でも優位に立てる可能性があります。エネルギーに限らず、社会が求める潮流に乗ることは、ビジネスをやりやすくし、結果的にコストを下げることにもつながるからです。

新しいビジョン、バックキャストからの中・長期戦略

 かつては「大企業にさえ入れば一生安泰」と言われていました。でも、実際はどうでしょうか? エレクトロニクス、自動車、放送、通信、新聞・出版、小売・流通、銀行、電力・エネルギー、農業・漁業、医療、建設・不動産…。「本業さえしっかりやっていれば、ウチは10年後も大丈夫」と言えるような会社はあるでしょうか?

 社会は今、構造的に変わりつつあります。それは過去の延長線上にはない、新しい姿と言ってもよいでしょう。そして、社会が変われば求められるビジネスもまた変わります。SDGsを抜きにしても、戦略の抜本的な見直しは避けられないのです。

 それは、今のビジネスを前提に「中長期的に何%の成長を目指す」とか、今の事業部を単位に軌道修正するというレベルの話ではありません。ビジネスを枠組みから再検討する必要があるということです。

 これからは本業を真面目に、きっちりやっているだけでは生き残れません。新しい社会の中で自社がどんな姿を目指すのか、「新しいビジョン」が必要です。そして、それを実現するために何をすべきか。バックキャストから出てくる戦略こそ、新しい中長期戦略の柱なのです。

 新しいビジョンを示したり、会社全体を見渡してビジネスの枠組みを抜本的に変えたりできるのは、取締役以上の経営者だけです。これからの時代、経営者の力量が今まで以上に問われるようになる。そう私は考えています。