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設計コンサルタントからの興味深い情報

・高級車の再開発とコンビニ設置のカラー複写機の開発
 ある自動車メーカーA社の高級車は、かつて若者に「おじさんのクルマ」と呼ばれていました。これを知って悔しがった開発陣はエンジンを新開発してパワーアップし、ボディーも一新しました。全てをゼロからの出直した再出発です。その開発要員は300人。部品点数は5万点です。

 これに対して業界は異なりますが、コンビニに設置するカラー複写機も競合企業が激しいつばぜりあいを繰り広げています。ある複写機メーカーB社の開発要員は、延べ330人。しかし、部品点数は5000点です。なんと、開発要員はほとんど変わらないのに、部品点数はA社の1/10。これでB社は人手不足とは言い難いと思いませんか?

・インクジェットプリンターの開発要員
 インクジェットプリンターを設計・製造するC社の電気回路は全部で1枚。その設計者はわずか1人。同様に、D社の電気回路は全部で3枚。その設計者は合計3人。これで、D社は人手不足とは言い難いと思います。

・DVD機器の開発
 中国の家電メーカーE社のDVD機器の開発要員は、たったの3人。メカとエレキ、ソフトウエアがそれぞれ1人ずつでした。これに対し、日本の家電メーカーF社のDVD機器の開発要員は10人。これではF社は人手不足とは言えませんよね?

設計効率の改革

 「人手不足」という言葉を聞いて少し疑問に感じたら、設計改革への分析とその結果を報告しましょう。図2は、当事務所のクライアント企業G社における設計部の工数分析です。特筆すべきは、以下の4つです。

[1]設計書がない(第23回を参照)。
[2]日々、市場や客先でのトラブルフォローに追われている。
[3]製図関連に工数の1/3も費やしている(海外のある大企業では、既に完全図面レスです)。
[4]検図部分を「(検図)」と記載しているのは、検図すら実施していないためです。

図2●設計効率の改革前(現状分析)
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図2●設計効率の改革前(現状分析)

 G社は平均的な日本企業で、これが「ものづくり、ものづくり」と掛け声を発している日本企業の実態です。パレートの法則に従えば、この実態が日本企業の8割と推定できます。

設計とは2割が製図、8割が仕込み

 しかし、G社は4年で変身しました。当事務所のコンサルテーションとG社の高い改善意欲により、パレートの法則における2割グループへと変貌を遂げたのです。それが、図3です。

 これが設計改革、設計の効率化の「見える化」です。

図3●設計効率の改革後(改革の結果)
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図3●設計効率の改革後(改革の結果)

 設計書なんて要らない。図面は無検図で出図。これらは全て現状維持──。こんな日本企業に明日はありません。もちろん、手抜きの出荷や擬似印鑑の押印、データ改ざんなどは論外であることは言うまでもありません(第24回を参照)。「人手不足だ」とか「忙しい」といった言葉を鵜呑(うの)みにする前に、やるべきことがあるのです。