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米国に奪われた設計思想とその優先順位

 敗戦国日本。戦後、日本は航空機の開発を禁じられました。かつて航空機大国だった日本は、1945年、第二次世界大戦に敗北すると、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)によって航空機の開発を全面的に禁止されました。それと同時に、マスコミには記載されない事象が起きていたのです。それは、全ての工業製品から「設計思想とその優先順位」を奪ったことです。

 その結果、学校では「オール5」を取る子供を優等生であるとしたため、日本の工業製品は全て「何でもあり」の仕様となりました。その代表的な商品が自動車メーカーのコンパクトカーであり、家電各社の2層式洗濯機や、ラジオとカセットデッキが一緒になった「ラジカセ」などです。こうして、日本製の多機能、過剰品質の家電品の類(たぐい)が生まれました。

 話を元に戻します。前項の零戦の企画書に基づく設計書を探しましたが、小規模な当事務所の調査力では不可能でした。そこで、図2の商品の設計フローの図中に存在する「設計思想とその優先順位」を、前述の企画書や各種資料を元に、筆者が設定しました。それが、図6です。理解を深めるために、100円均一の店で販売されている灯油ポンプと比較してみてください。

 実際、零戦の設計者である堀越二郎氏の設計思想は、徹底した「軽量化」でした。

図6●100円均一の店で購入した灯油ポンプと零戦の設計思想とその優先順位
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図6●100円均一の店で購入した灯油ポンプと零戦の設計思想とその優先順位

 零式戦闘機、零戦の企画書、および設計思想とその優先順位が決定したら、いよいよ設計書の作成に移行します。次回に続きます。お楽しみに。