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【質問】
 國井先生の第51回コラム、「不良箇所がすぐに見つかる、簡易検図のワザ」をとても興味深く読みました。そして、弊社の3D-CADですぐに試してみました。検図というよりも、3D-CADのモデリング中に実施した方が効果的に思えます。ありがとうございました。質問なのですが、第51回のコラムに、実務における断面急変探索の方法が4つ紹介されていました。[1]組み立て図で断面急変部を探索スキャンすることが設計職人の高級ワザ、[2]X軸とY軸、Z軸の3軸方向だけではなく、斜め45度や斜め30度で探索スキャンすることもある、[3]機械的な断面急変探索だけではなく、「電気的断面急変探索」を使う場合もある、[4]電気的断面急変探索の代表例はグランド(接地)や電気的接触部である――と。これらについて教えてください。

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答】
 近年、匿名によるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで、誰かが何らかの提案をすると、すぐに反論したり嫌みを言う人がいたりしてとても残念に思います。私の事務所の提案発信も、賛同が70%、嫌みが30%といったところです。今回の質問は大変うれしい反応です。というのも、前回(第51回)の内容が、真の検図ではなく、あくまでも「簡易検図」であることを質問者がきちんと理解してくれているからです。では、期待に沿えるように[1]〜[4]を解説します。これらは簡易検図のワザの上級者編となります。

断面急変探索のサバイバル検図は組立体で実行

 解説の前に、単品では断面が取れても、組み立て体(以下、組立体)では断面が取れない3D-CADがあるそうですが、私には信じられません。それではこのワザは使えません。2D-CADを使っている場合も同様です。

 第51回のコラムでは、「断面急変探索」を理解してもらうために単純な樹脂ケースを事例に解説しましたが、今回は上級者編として図1を掲載します。これは、手動式鉛筆削り器の心臓部の部品に相当するロータリーカッターの組立体です。図中の赤い矢印は、鉛筆が挿入されるX軸であり、かつ、ロータリーカッター部の公転軸です。一方、その10度下へ傾いた軸が鉛筆を円すい形に削る自転軸です。

 断面急変探索スキャンは、まず、X軸方向をスキャンし、次に、10°傾いた軸に沿ってスキャンします。そして、共に断面急変部を探索します。

図1●鉛筆削り器のロータリーカッターの組立体
図1●鉛筆削り器のロータリーカッターの組立体
(出所:國井技術士設計事務所)
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 図2は、前述のX軸に対して、10度下へ傾いた軸に沿ってスキャンした一部の断面図です。

図2●X軸に対して10度下に傾いた軸に沿って断面急変探索
図2●X軸に対して10度下に傾いた軸に沿って断面急変探索
(出所:國井技術士設計事務所)
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