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【質問】

 テレワークに向くDR(設計審査)とFMEA(故障モード影響解析)を國井先生が提唱していると耳にしました。我々の設計部門では、3D-CADを使用した設計業務は、パソコンさえあれば場所はどこでも可能です。他の設計者との打ち合わせは、遠方の事業所とでもこれまで難なく実施してきました。問題は、DRとFMEA審査です。数年前、國井先生の忠告を無視して、当社は複雑なDRシステムと複雑なFMEAを導入してしまいました。先日、このツールとWeb会議ツール「Zoom」を使ってテレワークを実施しましたが、小さなノートパソコン(PC)の画面では気持ちが中に入っていけませんでした。そこで、先生が提唱してDRとFMEAを教えてください。

【回答】

 日本を代表する大企業である貴社の「在宅勤務(以下、テレワーク)率は7割以上」というニュースを見て驚きました。それが今や貴社だけではなく、日本企業のほとんどが、あっと言う間に在宅勤務になりました。テレワークに有効で、かつあなたが興味をもっている「カンタンDR」と「シンプルFMEA」を紹介しましょう。

 私のメイン業務は設計コンサルテーションです。実際に企業の中に深く入り込み、商品開発や設計改革を実施しています。私の事務所のコンサルテーションでは、「働き方改革の前に自己改革!」をスローガンにしてこれらを推進してきました。とはいえ、正直に言うと、どのクライアントもなかなか真剣にはならず、ダラダラと改革を継続していました。

 ところが、新型コロナウイルスの影響であっと言う間に業務改革や業務の効率化が進んだのです。その最も大きな改革がテレワークでしょう。このテレワークに完全適合するのが「カンタンDR」と「シンプルFMEA」なのです。

今回のコラムを理解するための復習

 テレワーク完全対応のカンタンDRとシンプルFMEAを理解する上で必要な知識と情報は以下の通りです。

  • 第7回:やる気のない技術者は後方の座席を好む
  • 第8回:お通夜のデザインレビューよ、さらば!
  • 第14回:スカウトされない日本人設計者
  • 第22回:氾濫する設計ツールはオールリセット!
  • 第29回:零戦に学ぶ「攻撃的」設計戦略
  • 第40回:7pay不正アクセス事件も分析できる「トラブル三兄弟」
  • 第47回:トラブルを許容する一方、発生率を下げる設計のワザ
  • 第49回:設計者はトラブルの落としどころを考えるべし

 今回だけでは説明しきれない情報を以前のコラムで、補ってください。

今回コラムの注意事項

 それでは早速、第40回のコラムから「99.6%」という単語を抜粋します。今回のテーマは、99.6%の企業のためのテレワーク情報です。99.6%とは、日本企業における中小企業数の割合です。従って、日本企業における0.4%の大企業には役に立ちません。

まずは絶対条件をしっかりと把握する

 第7回のコラムで記した通り、やる気のない技術者は部屋や会議室の後方両端席を真っ先に取ります。ここは参加者の席ではなく、傍観者の席と呼ばれています。昔、熱血先生のドラマがいくつか放映されましたが、不良の学生は必ずここに座ります。これで容易に「やる気のない席」が証明されました。そこで、第8回のコラムで審査形態を提案したというわけです。

 キーセンテンスで表現するならば、「机を取っ払う」「資料を配布しない」「女性を入れる」でした。重要な内容ですので、改めて図1に再掲載します。

図1●韓国巨大企業における活気あるDRとFMEA審査風景
図1●韓国巨大企業における活気あるDRとFMEA審査風景
(出所:國井技術士設計事務所)
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 この審査形態は、まるで「お通夜」のように静かな設計審査を活性化するために私の事務所が開発したコンサルテーション・メニューです。しかし、新型コロナウイルス拡散防止の「三密」、つまり密閉・密集・密接のうち、少なくとも、密集と密接の2つも踏んでしまいます。2つ踏むからこそ、お通夜の設計審査を活性化へと導くことができました。それが、今となってはあだとなったのです。

 そこで、私のクライアント企業では、図2のテレワークが始動しました。通常のコンサルテーションでは、私の事務所の提案には必ずといってよいほど反対派が出現するのですが、新型コロナウイルス感染防止が先行したため、今回のカンタンDRとシンプルFMEAへの反対派は皆無でした。

図2●テレワークに完全対応するカンタンDR用の簡易設計書(DQD)とシンプルFMEAである3D-FMEA
図2●テレワークに完全対応するカンタンDR用の簡易設計書(DQD)とシンプルFMEAである3D-FMEA
(出所:國井技術士設計事務所)
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