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 1月も末になってしまいましたが、今回のコラムが2021年初の執筆となります。ということで、いつものQ&Aではなく、今回は変則版として、設計改革に関して2021年の私の抱負を語りたいと思います。

 「3密」厳守は重要ですが、多くの人が新型コロナウイルス禍で行動力を失ってしまいました。私の事務所もキャンセルの影響を受けました。それでも、新型コロナ禍はもうすぐ収束するだろうという甘い考えで、日本企業に就職した外国人技術者が会社で初めて覚える言葉と揶揄(やゆ)される「しょうがない」と思うようにして、自分の心をなだめていました。

 しかし、そんなときに気になる言葉を各種メディアで目にしました。「ピンチはチャンス」です。

 そこで、私の事務所では設備投資を行い、2020年6月からは全ての業務をオンライン化しました。仕事をオンラインコンサルテーションとオンラインセミナーに移行したのです。しかし、これでよいのかと考え直しました。これは現状維持の策にすぎず、「ピンチはチャンス」ではないと。

DDRで形勢逆転

 そこで私は、今年こそは躍進の年だと正月から気合を入れています。そのキーワードは、「ダイレクトデザインレビュー(DDR)」です。DDRとは、図面レスから検図レスを経て、デザインレビュー(設計審査)中に承認と却下の審査を実施する設計プロセス改革です。設計の高速化と高効率化、つまり、開発スピードの加速に期待できます。

 では、私の事務所がクライアント企業と共に取り組んでいるDDRを紹介しましょう。このクライアントは、2017年6月より私の事務所がコンサルテーションしている、埼玉県にある企業です。その結果、目立って大きく変化したところは、皆が押し黙った「お通夜」のデザインレビューからの脱却でした。今や中堅技術者を中心とした活気あふれるデザインレビュー(図1)。その変わりようには驚くばかりです。私も非常に満足しています。

図1●活気あるDDRの雰囲気
図1●活気あるDDRの雰囲気
(出所:國井技術士設計事務所)
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 このDDR構想は活性化してはいますが、構築までにはあと2~3年はかかると思います。しかし、スタートを切らない限り、目標達成はあり得ないので、早速この1月から着手することにしました。

DDRへ着手したここまでの道のり

 いきなり壮大な改革ができるはずはありません。以下に示す設計力向上のステップを踏んできました。約4年の年月が費やされています。その主たる設計力とは、「匠のワザ(1)~(6)」の習得と修業です。これを基本としたDQD(簡易設計書)とシンプルFMEA(故障モード影響解析)による活気あるデザインレビューは、開催のたびに技術的な激論を交わす雰囲気づくりが進行しています。一層の躍進として、図面レス⇒検図レス⇒DDRへと着手し、テレビやジャーナル誌の取材を受けたいと夢見ています。

真の検図から完全図面レスへ

 「真の検図シリーズ」は本コラムの第50回から71回まで継続しています。ここで、「真の検図」とは、図面と以下の3つの資料との「照合」です。図面の誤記や寸法抜けのチェックは検図ではありません。これを設計工学では「セルフチェック」と言います。

 3つの資料とは、図2に示しました。

[1]DQD、その設計審査の結果

[2]FMEA、その審査の結果

[3]試作評価の結果

 以上の資料の結果が図面に盛り込まれているか否かの照合を「真の検図」と言います。

図2●真の検図に必要な3つの設計資料
図2●真の検図に必要な3つの設計資料
(出所:國井技術士設計事務所)
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 主な行為は「照合」です。この行為を継続していくと、必ず気が付くことがあります。それは、「図面は不要では?」ということです。それが、「完全図面レス」です。