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【質問】

 今年、就活する学生です。日経クロステックや日経ものづくりを読んでいて、ちょっと気になる記事がありました。キーワードで言えば「メガリコール」で、かつて聞いたことがない単語です。詳しく読むと、高品質や品質管理が自慢の日本の自動車企業やその関連企業ですが、技術的には安定しているはずの製品で問題が生じたり、強度データの改ざんがあったりしたというのです。自動車産業は日本の基幹産業ですから、そこから崩壊するのではと、とても心配になりました。ぜひ「メガリコール」について教えてください。また、私の就活判断にアドバイスをお願いします。

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答】

 日本では男性も女性も一生勤務することが多いので、就活に関してのアドバイスにいいかげんなことは言えないと思い、電話した次第です。まず、自動車やエンジン、変速機などの自動車全般が好きならば、日本の自動車産業への就活でよいと思います。「好きこそものの上手なれ」で、熱意や情熱こそが働きがいのある毎日と将来になると思うからです。メガリコールについてはコラムで解説しましょう。

 自動車への思いが特段になければ、日本の電気・電子産業もお勧めです。特に「重電」は、例えば韓国の企業には容易にまねができない技術の塊です。ライバルは米国とドイツの企業でしょうか。重工となると、米国とドイツの他に韓国や中国などの企業が加わってきます。これに対し、「軽電」はスマートフォンやパソコン、デジタル複合機などの「セットメーカー」と呼ばれる企業が数多く存在します。購入部品やソフトウエアを1つの箱の中にポンポンと「セット」する製造業で、比較的参入が容易なため激戦です。

 このまま話を進めると今回のコラム全てが就活相談になってしまうので、この話題はここまでとします。それではメガリコールの話をしましょう。なぜ、日本の企業、特に自動車関連企業は、大規模なリコールを発生させているのでしょうか。

品質管理だけではリコールはなくならない

 巨大なリコールの真の原因を把握しないまま、推定原因だけでこのコラムを執筆することはできません。設計職人として無責任です。

 日本経済には、「失われた20年」と呼ばれる時代がありました。それとは逆に、その時期、韓国の自動車産業は絶好調でした。例えば、「5車種世界同時発売」でセンセーションを巻き起こした自動車企業が存在します。私は、世界が注目したその自動車企業でコンサルテーションを実施しました。以降は、その経験を通して解説します。

 そういえば、この企業からのリコールは非常に少ないと感じます。この企業からの私の事務所への要求は、「QCDPa(品質、コスト、納期、特許)の全てをアンチXで指導してください」という強い要望でした。「アンチX」とは、日本の自動車企業のX社が取り組んでいるQCDPaの管理手法ではない方法を意味します。

 なぜなら、X社は販売でも生産数でも自動車業界のトップクラスでした。しかし、米国でのニックネームは「リコール王X」でした。韓国企業ではそのようなX社から学ぶものはないという意味でもあり、反面教師の扱いでした。それは、今日でも変わっていないと思います。

 それでは、その企業に対して私の事務所がどのようにトラブル再発防止へと指導したか説明しましょう。