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 設計者の皆さんは、構想設計内容や詳細設計内容を考えている場合に目標品質をどれくらい意識していますか?

 私が自動車メーカーのエンジニアだった時は、品質という観点に最も重きを置いて検討を重ねていました。あらかじめ各ユニットに割り当てられた目標品質をどれくらい守れるかを考える中で、対コストについて矛盾する点が出てきます。ここで、どのように優先順位を付けるか、また割り切るかを常に考えていました。

 なぜそうしていたか。自動車に重大な欠陥が発生してしまった場合、顧客に多大な迷惑をかけてしまうからです。それだけではありません。最悪の場合には、取り返しのつかない結果に結び付いてしまうからです。常日頃、そのような最悪の自体を想定(リスクマネジメント)して、設計しなければなりません。

 設計中、たまに次のような考え方が頭をよぎります。「目標品質を達成しながら、さらに品質を高めて、顧客に素晴らしい製品を届けよう」と。もちろん、こうした考え方は悪いことではありませんし、設計者として品質を追求することは非常に重要です。

 しかし、品質を造り込むためには、部品のばらつきを抑制(必要以上に抑制)したり、製造工程を変更したりと、さまざまなプロセスの変更や作業が必要となります。確かに、部品のばらつきは狭めれば狭めるほど、ばらつきの少ない部品のみを抽出できます。でも、本当にそこまで要求すべきなのでしょうか。私はまさに、こうした考え方こそが「過剰品質」につながっていると思います。公差設定などもそうです。

 上記のような過剰品質を追求した場合、原価が高くなります。原価が高くなると、利益が少なくなります。設計者が過剰に高い品質を求めてしまった結果、利益が少なくなり、会社に貢献できなくなることがあるのです。また、市場で求められていない品質を持つ製品が顧客に届けられ、顧客は全く気付かないといった場合も往々にしてあります。