仕事でさまざまな企業に行くと、あちこちの会社で設計部門が困った現象に陥っているのを目にします。第44回のコラムでも話した通り、設計者には大きな負荷がかかっています。そのため、設計に必要な時間を十分に確保できていません。前回は設計者に負荷がかかる業務内容や企業風土を紹介しましたが、今回は設計者を苦しめる仕組みについて考えてみましょう。
例えば、DR(設計審査、デザインレビュー)。皆さんの会社のDRはどのようになっているでしょうか? 設計者に質問や指摘の嵐で、設計者が棒立ちのような状況になっていませんか。実は、まさにこれが設計者を苦しめているツールの1つです。
もう1つ、DRBFM(Design Review Based on Failure Mode)はどうでしょうか。DRBFMは変化点ごとに故障モードを抽出しなければなりません。ただ単に「やっつけ」の仕事になってしまっていると、資料を作る時間がかかるだけで、効果はあまりありません。しかも、DRBFMの資料を作成することで満足してしまい、DRBFMの中身については全く議論していないという企業もあります。
これではせっかく設計者が時間をかけて作った意味がありません。品質ツールは品質を向上させるためのツールであり、設計者を苦しめるツールではないのです。苦しめているのは形骸化した仕組みであり、問題はその点にあります。