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 設計者の負荷が高い現状について、このコラムの第44回と第45回で説明してきました。その内容を理解した上で、設計者を苦しめているもう1つの問題点について解説していきましょう。

 先日、ある企業で私が設計マネジメントについて質問すると、30歳代の設計者がこう答えました。

「うちの会社の設計者は、それぞれが個人商店のようなもの。1人で1から10までの全てを行います。そのため、他の人が何をしているかを知りません。つまり、誰が忙しくて、誰が暇なのか、誰も分かっていない状況だと思います」。

 この話を聞いて、私は愕然(がくぜん)としました。確かにそれぞれが個人商店のような方法であれば、1人が全ての仕事を手掛けることで設計者としての能力向上につながるかもしれません。設計者全員がベテランで、その会社の製品を知り尽くしているのであれば、それほど問題なく対応できる可能性はあります。しかし、そうしたメンバー構成の設計部門が存在するとは思えません。知識が浅い設計者でも同様に1から10までの全てを行っているとしたら、手戻りや不具合が発生しても当たり前です。

 さらに話を聞くと、次のような言葉が返ってきました。

「形式的なデザインレビュー(DR)はやっていますが、問題の未然防止という観点では話ができていません。レビュワーが気になる点を指摘する程度です。また、検図は上司に提出して、誤記を修正する程度です」と。

 読者の皆さんの会社がこのような状況ではないことを願いますが、多くの日本企業がこうした状態になっているのではないでしょうか。

 こうした状態では、設計者の負荷が高くなって当然です。中でも特に問題だと私が考えるのは、設計者の負荷の平準化ができていない点です。

設計マネジメント不全

 設計マネジメントができていないということは、設計の工数管理ができておらず、その製品にどれくらいの工数を費やしたのかについての実績も割り出せていないということです。実績がないと、新しい受注に対して設計リードタイムを正確に予測できません。すると、短い設計リードタイムの中で設計者が多くの負荷をかけて設計を進めなければならないのです

* 原価についての問題も存在する。製品ごとの設計工数を計測できないため、設計部門全体の原価を適当に割り振っている企業が多い。設計工数をそれほど費やしていない製品にも多く費やしている製品にも同じ割合で原価が上乗せされるのだ。これでは正しい原価を割り出せない。原価企画の話は別の機会に譲る。

 設計マネジメントというのは、設計者がPDCAを回すようにするのが本来の考え方であり、PDCAが回らない状態にあるのをいつまでも放置していては、マネジメントができていないということです。PDCAを回しながら、設計者の負荷の平準化を図り、緊急事態(市場不具合やクレーム対応など)にも対応できる状態にしておかなければなりません。

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