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 経営とは、株主から預かったお金を資産に投資し、それを活用して事業を行なって新たなお金を生み出すこと。よって、生きたお金の使い方とは、新たなお金をより多く生み出すものに使うこと、に他ならない。お金を生み出さないものに使ったり、お金を出して買った資産を放置・廃棄したりといった使い方は許されない。それは、お金をドブに捨てるのと同じである。

お金の無駄に対する危機感がない

 ある企業を訪問した時のことだ。ものすごく広い工場に、素晴らしい設備が導入されていた。ところが稼働していない。案内してくれた工場長に聞いてみた。「どうして動いていないのですか」と。すると、こんな返事が返ってきた。

 「当初の計画では使うはずだったのですが、お客様の都合で生産数量が減ったために動いていないのです」。

 よくありそうな話だが、筆者が驚いたのは、高額な設備が稼働していないことが「大変なこと」であるという危機感が、工場長にないことだった。おそらく、“生産は自分の責任だが、受注についてはそうではない”という意識があったのだろう。随分お金に余裕のある企業だなと思い、「これだけの設備を入れられているということは、資金も潤沢なのでしょうね」と聞くと、なんと借金を抱えているとの答えが返ってきた。

 借金までして導入した設備が稼働していないということは、新たなキャッシュが得られないばかりか、金利の支払いはもちろん、借金の返済も迫られる事態に直面しているということ。もし、自分でお金を借りて設備を導入したという感覚を持っていれば、工場を預かる責任者として稼働を上げるために必死に駆けずり回っているはずだ。

設備は動いていない間もお金は出ていく

 設備は動いていなくも、その間にもお金は出て行く。設備投資を借入金で賄っていれば、前述したように稼働していない間も金利の支払いが発生するからである。

 また日本では、設備などには固定資産税がかかる(地方税なので自治体ごとに税率は異なるが、大半は1.4%となっている)。固定資産税は、設備の稼働状況とは関係なく、あくまで固定資産の額に対して課税されるので、停止していてもいなくても税金の支払いは発生する。ところが、「あなたの工場は固定資産税を幾ら支払っていますか」と聞くと、即答できない責任者が大半だ。

 マイナス金利政策の中、日本での借入金利は大企業なら1%未満も珍しくない。それと比べると1.4%という値は極めて大きい。地方自治体が積極的に工場を誘致する大きな理由の1つは、それによって固定資産税が増えるから。固定資産に投資する以上、固定資産税の支払いは責務だが、「動いていない間も税金の支払いが発生している」のを意識しているか否かによって、投資した設備をいかに使い切るかという姿勢が全く違ってくる。