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 事業の拡大にはグローバルでの展開が必要不可欠な現在、多くの企業が海外に販売拠点・製造拠点を設立している。新たな拠点の設立や、環境変化に対応した拠点シフトも加速している。新拠点の設立に何らかの形で携わる読者の方や、設立した新拠点へ赴任する読者の方も少なくないだろう。

拠点立ち上げで意識すべきは

 新拠点を設立する際に重要なのが、いかに計画通りに立ち上げるかということ。立ち上げの遅れは、すぐに資金繰りの悪化につながる。故に新拠点責任者として赴任する人は、そこにこそ注力しなければならない。

 しかし、それと並んで重要なことがある。それは、どのような企業風土を作るかだ。はっきり言って、企業風土はほとんど設立時に決まってしまう。企業風土いかんで、その後の事業推進には大きな差が出るだけに、どんな風土にするかをしっかりと意識して立ち上げることが大切だ。

 例えば、清掃一つ取っても、「全員で行うのが当たり前、汚れていればすぐにきれいにするのが当たり前」という企業風土と、「汚れたまま、不良が山になっていてもおかしいと思わない」風土では、品質や安全、企業への信頼度が全く違ってくる。もちろん経営数値にも大きな違いをもたらす。それだけに、目指すべき企業風土を意識し、方針を明確にして社内でのルールを決めたり、新入社員を教育したりすることが肝心なのだ。

思想はトイレにも表れる

 タイにある精密金属加工を営む日系メーカーの例を紹介しよう。この企業の社長は、企業風土こそが事業展開の基礎になると認識し、自分の思想を明確に示した上で、それを具現化する施策を徹底。同時に、従業員が一生懸命働いてくれる環境を作ることが愛社精神の醸成につながると考え、設立時に企業風土構築に取り組んだ。立ち上げ間もない工場だが、経営トップの方針が明確だったので、従業員への教育が徹底され、トップの思想が随所に表れていた。

 一般に切削工場は、切り粉やオイルが床に落ち、油煙にまみれていることが多いが、そこは5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)が行き届いたクリーンな工場だった。切り粉はもちろんオイルのシミ1つなく、まるで精密部品の組立工場のようだった。