PR

 本コラムの第1回で、「不安だらけの海外赴任」と題して、海外赴任への心構えを解説した。グローバル化の加速に伴い、技術者もいつ海外への出向を命じられるか分からない。本コラムを読んでいただいている読者の中には、既に海外に赴任されている方、出向経験のある方も多いのではないだろうか。

 海外に赴任すると日本ではできないことが経験できる。責任が重く大変だが、本人にとっては大きく成長できるチャンスでもある。海外出向を不安に感じるよりも、日本では得られない経験ができる絶好の機会と前向きに捉えていただきたい。

真の経営を理解する機会に

 では、海外の子会社に出向することで具体的にどんな経験ができるのだろうか。第1回にも書いたが、第一は会社経営そのものを担う経験が得られることが大きい。日本では、せいぜい損益計算書(P/L)を見るくらいで、その中の一部分を担当するに過ぎない。しかし、それでは真の経営は理解できない。

 海外拠点は、日本本社の一部門ではなく独立した1つの会社である。そこに出向するということは、その会社の経営を担う立場になるということ。従って、資金計画や貸借対照表(B/S)視点での経営の重要性を理解できるようになる。

 もちろん、出向前にこれらの基本については勉強しておくべき。だが、人事部門が用意する出向前研修では、経営を担う上で本当に必要な知識を十分に学び切れないことが多い。人事部門自身が経営の本質について理解できていないためである。

 実際、出向先の資金繰りが苦しくなってはじめて財務3表(B/S、P/L、キャッシュフロー計算書)の関係を理解したという責任者は多い。日本では資金が回らないといった事態を経験することはまずないが、海外の場合は立ち上げに失敗したり、売り上げだけを追究して資金繰りが悪化したりということがよくある。どうなると資金が回らなくなるか、どうしたら資金を良化させられるか、実践を通じて学んだ人も少なくない。「海外での経験から経営再建のコツを掴みましたよ」と言う人もいる。まさに、日本では経験できない真の経営を学べるのだ。