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権限委譲を行うポイント

 権限委譲を成功させるためには、組織と上司が一体となり、部下が委譲された業務を遂行できるようサポートして、部下のモチベーションを保ち続けることが大切です。

[1]目標と委譲範囲を明確にする

 上司と部下の間で、達成すべき目標と任せる範囲を決めておく必要があります。それがないと、部下は何を目指し、どこまで自分で判断してよいか分かりません。都度上司に判断を確認していては、権限委譲をしている意味がなくなってしまいます。現状の能力よりもハードルが高すぎない適度な難易度で、本人の適性に合った範囲の権限を与えるようにします。

[2]経営資源の準備を行う

 仕事を進めるためには、協働する社内外の人脈や予算、情報、ノウハウなどの経営資源が必要となります。部下だけで準備できないことは、上司がサポートして仕事ができる環境を整えます。

[3]考え・行動基準を共有する

 部下が判断して行動するときのよりどころとなる基準は、上司や組織の規準としっかり合わせておく必要があります。よりどころがズレていると、仕事の成果に影響してしまいます。部下には基準を正しく理解させ、それに沿った判断を行い行動をとることを求めるとともに、日頃から基準の共有を組織内で進めておくことが大切です。

[4]最終責任は上司が持つことを伝える

 業務の最終責任は上司が持つことは、権限委譲の前提条件です。上位の仕事を最初から部下1人で全て考えて行動することは、現実的には困難です。その上で、結果も部下の自己責任になるのなら、それは単なる丸投げでしかありません。定期的に報告を受ける時間を設定して相談に応じたり、部下から求められたら適切なアドバイスや支援を行ったりすることで、成果につなげていきます。

[5]結果をポジティブに評価する

 部下にとって上位の仕事に取り組むことは、大きなプレッシャーです。チャレンジして自律的に業務を進めて完了させたことを評価することで、部下のモチベーションを高めるようにします。その上で、今後の成長を期待したフィードバックや改善点を伝えていきましょう。

上司としての心構え

 権限委譲にあたっては、上司の心構えや自律性も問われます。

[1]細かい口出しはしない

 部下本人に仕事を任せたからには、本人のやり方で最後までやらせてみることです。 部下からの求めがない限り、上司側から世話を焼くことは控えます。任せておきながら、細かいことにまで1つひとつ指示すると、部下が行動しづらくなり、やる気を下げることになってしまいます。

[2]我慢強く見守る

 部下にとっては、初めての取り組みで要領が分からなかったり、緊張してミスをしたりする可能性もあります。権限委譲は効果が高いからこそ困難も伴います。少しくらいの失敗なら自分で挽回して部下の成長を期待する、という覚悟で臨みましょう。ただし、なぜ失敗したのか、同じ失敗をしないための検討は部下と一緒にしっかりと行います。

[3]自分の仕事をブラックボックス化しない

 自分の仕事をブラックボックス化して、自分しかできないようにして無意識に自分の存在感と立場を守ろうとしていることはないでしょうか。

 自分が新たな仕事に挑戦するためには、長期的視点と上位の視点で仕事を整理し、①新たに取り組むべきこと、②自分にしかできないこと、③部下に任せられること、に分けて組織内で共有しておくことが必要となります。

 権限委譲を成功させるためには、組織全体がその意味と目的を正しく理解し、部下の業務遂行をサポートするための十分な環境を整えることが大切です。