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2. 手術支援ロボット

2.1 手術支援ロボットにおける触力覚実装の現状

 手術支援ロボットは、従来の内視鏡手術と異なり、執刀医の手に触覚が伝わらないことが長年問題視されてきた(7)

 現在実用化されている手術支援ロボットの代表的なものとして、Intuitive Surgical社のda Vinciシステムがある。da Vinciはマスタスレーブ方式で操作する6自由度ロボットシステムであり、マスタ側は左右の2本、スレーブ側は作業用に2本、補助用に1本、内視鏡保持用に1本の合計4本のマニピュレータで構成されている。現時点ではスレーブアームの接触力をマスタにフィードバックする機能は備わっていないが、マスタ側には位置合わせ等のためのモータが搭載されているため、将来的に触力覚フィードバックが備わる可能性は考えられる。

 一方、TELELAP社のALF-Xシステム(現Trans-Enterix社、Senhanceシステム)(8)は、低コストなシステムを志向しており、従来の内視鏡手術と同等の4自由度動作または器具先端が1自由度の5自由度動作に限定されている一方で、市販されているものとしては唯一の力覚フィードバック機能が備わった手術支援ロボットである。器具の先端だけでなく器具のシャフト部に力が加わった場合もその力が術者にフィードバックされる。

 手術支援ロボットを製品として製造・販売するためには、各国の規制をクリアする必要があるため、触力覚通信などの最先端の技術を搭載するには、その安全性の検証などに多大なコストを要するため、製品化された事例はまだ限られている。

 手術ロボットにおいて触力覚フィードバックを実現するためには、触力覚のセンシングと通信という二つの大きな課題がある。ここでは、触力学のセンシングの課題を解決するための取組みを紹介する。