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 この記事が掲載されてから数日のうちに、「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」が発表されるはずだ。日経BPの日経Automotiveが2021年からCOTYの主催メディアに名を連ねるようになった関係で、筆者も今年度から選考委員の末席を汚している。COTYの選考に先立ち、11月の下旬に「10ベストカー」の全車種に試乗する「10ベストカー試乗会」が開催された。ここで、以前から関心がありつつも試乗の機会がなかったフランスRenault(ルノー)の「E-TECH HYBRID」について詳しい解説を聞くことができた。

10ベストカーの詳細: https://www.jcoty.org/10best/
日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに選出されたルノーの「アルカナ」。試乗したのはR.S. LINE E-TECH FULL HYBRIDである
日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに選出されたルノーの「アルカナ」。試乗したのはR.S. LINE E-TECH FULL HYBRIDである
(写真:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)
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既存ハイブリッドと異なる複雑な仕組み

 欧州メーカーの多くがEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)への移行に力を入れ、HEV(ハイブリッド車)に力を入れるメーカーは少ない。しかも、欧州のHEVの多くは、容量の小さいバッテリーに、出力の低いモーターを組み合わせて、エンジンの効率が悪い運転領域を補助する、いわゆるマイルドハイブリッドシステムを採用する。あるいは、比較的大出力のモーターを採用していたとしても、エンジンと変速機の間にモーターを1つだけ搭載し、その前後にクラッチを挟むシンプルな構成の「パラレルハイブリッドシステム」である場合がほとんどだ。つまり、欧州車のハイブリッドシステムにおいて、モーターはあくまでも脇役で、主役はエンジンである場合が多い。

 これに対して日本のトヨタ自動車が採用する、2つのモーター/発電機とエンジン、それに遊星歯車機構を組み合わせた「THS(トヨタハイブリッドシステム)」や、日産自動車やホンダが採用する、エンジンを主に発電用として使い、駆動力はモーターから得る「シリーズハイブリッド」(ホンダはエンジンと車輪を直結するモードを備えるので純粋なシリーズハイブリッドではないが)では、駆動力の多くをモーターから得るのが欧州メーカーと大きく異なるところだ。

 こうした中にあって、日本法人ルノー・ジャポンが日本市場で2022年5月に発売した「アルカナR.S. LINE E-TECH FULL HYBRID」に採用する「E-TECH HYBRID」は異彩を放つ。というのも、1.6Lエンジンに36kWという欧州メーカーのHEVとしては大出力のモーターを組み合わせ、さらにモーターとエンジンの間に変速機構を配置して、エンジンとモーターを最大効率が得られるように組み合わせる複雑な動作を実現した本格的なHEVだからだ。

E-TECH HYBRIDは、メインモーターとエンジンの間に変速機を配置する
E-TECH HYBRIDは、メインモーターとエンジンの間に変速機を配置する
(出所:ルノー)
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