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 電子ゲーム分野は、急激に普及したスマートフォンに合わせた新しいゲームシステムやビジネスモデルの登場、VRやAR等の新たな入出力技術を利用した新たなゲーム体験の提供、ゲームのプレイ動画の配信やeスポーツに代表されるゲームプレイの観戦等のゲームの楽しみ方の多様化、といった取り巻く環境がめまぐるしく変化する状況にある。また、近年、電子ゲームの技術を他分野へ展開する動きもある。日本企業は、ビジネスモデルを多角化したり、新たなゲーム方式やゲーム出力インターフェイスを採用したゲーム開発を推進したりして新たなユーザ層の取り込みを図る必要がある。また、電子ゲームの楽しみを演出して人を引き込む特性に注目して、他分野へ戦略的に展開する取り組みを進める必要がある。

 近年、電子ゲーム業界を取り巻く環境はめまぐるしい変化を見せています。大きな潮流として、PS4等のハイスペックゲーム機の高い解像度・処理速度がもたらしたリアリティ追及やオープンワールド化という流れ、そして、2010年代から急激に普及したスマートフォンに合わせた新しいゲームシステムや収益モデルの登場という流れの二つがあります。

 こうした流れの中で、電子ゲームそのものの在り方についても変化の兆しが現れ始めています。VRのような新たな入出力技術は斬新なゲーム体験を、動画配信の全世界的な浸透はゲームのプレイ動画の配信やゲームプレイの観戦といった新しい楽しみ方を提案しています。また、電子ゲームを防災、教育、ヘルスケア等の他分野に応用するという動きもあります。このような背景のもと、特許庁は、技術開発の状況を把握し、技術競争力の状況と今後の展望について検討することを目的として、「平成30年度特許出願技術動向調査」を行い、電子ゲームに関する市場動向、政策動向、特許出願動向等を調査して、その実態を明らかにしました。

 本調査における「電子ゲーム」とは、ゲームのうち、「プレイヤーとの相互作用に応じて電子的処理手続きが動的に変化していくことが娯楽的要素を作り出す主要な仕掛けとなっているものであって、その相互作用の出力が、主にビデオやサウンド、触覚などプレイヤーの感性に訴える電子データの変化として提供されるもの」として、電子的処理を用いないボードゲームやカードゲームについては、本調査における「電子ゲーム」の対象外としております。

 電子ゲームに関する技術俯瞰図を図1に示します。要素技術としては、プレイヤーや環境条件によるゲームの制御を行う“入力”に関するもの、ゲームの進行やイベントにおける設定、選定、判定、決定、評点などの“処理”に関するもの、ネットワークゲーム等の手段となる“通信”に関するもの、プレイヤーデータ等のゲーム状況の“記憶”に関するもの、プレイヤーがゲームからの反応を得るための“出力”に関するものがあります。

 ゲームコンテンツとしては、ゲームのジャンル、マルチプレイや制御方法、ゲームルール、xR等のゲーム方式の他、ビジネス基盤に関する技術があります。電子ゲーム業界では、ゲーム自体は無料で提供しつつ、ゲームを有利に進めたり、より楽しく遊んだりするためのアイテム等を販売するアイテム課金などの流通形態がスマートデバイス向けのゲームで多く採用されているため、主要な技術にアイテム課金を初めとする収益方法の工夫、その他、サーバ側での処理を伴うゲームシステムにおけるハッキング対策やデータ消失対策、著作権等の権利保護の仕組みなどが挙げられます。

 課題や目的・効果としては、電子ゲーム自体あるいは電子ゲーム的な発想のコンテンツは、教育、フィジカル及びメンタル・ヘルスケア、防災など、エンターテインメント以外の用途で利用されています。こうした目的・効果を実証したり、測定したりする研究もなされています。

図1. 電子ゲームの技術俯瞰図
図1. 電子ゲームの技術俯瞰図
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