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「令和元年度特許出願技術動向調査」において、福祉用具に関する市場動向、政策動向、特許出願動向、研究開発動向等の調査を行い、その実態を明らかにした。我が国は、人口の減少とともに急激な高齢化が進展することから、介護福祉産業における技術開発の促進が求められている。アジア諸国でも高齢化が急速に進んでいくことが予想されており、介護福祉産業の市場拡大が見込まれている。このような背景のもと、介護福祉産業の持続的な発展とともに、よりよい福祉用具を提供し介護者・被介護者のQOL(Quality of Life)を向上させることを目的として、福祉用具に関する特許・意匠の動向を調査し、技術開発の進展状況や技術競争力の現況と今後の展望について検討した。対象とする福祉用具は、介護生活支援用具と自立生活支援用具に着目し、介護生活支援用具としては、1)「介護用ベッド」及び2)「移乗支援用具」、自立生活支援用具としては、3)「食事用自助具」と4)「歩行補助」の計4分野を対象とした。本調査の主要部分を本稿で紹介する。

調査範囲・調査手法

 特許文献については、検索式は、福祉用具に関するIPC(国際特許分類)及びキーワードにより構成しました。調査期間は、2000~2017年(優先権主張年)に出願されたものとしました。特許文献は、日米欧中韓ASEANを始めとする各国への特許出願/登録特許/PCT出願を対象に調査を実施しました。調査手法は、文献ごとの読み込み調査により、本調査において調査対象とする福祉用具に言及する記載のない文献を外すノイズ落としを行い、技術区分を付与しました。複数の出願人による共同出願の場合は、筆頭出願人の国籍を用いることとしました。出願人別の出願件数をカウントする際、特に共同出願の場合は、文献に記載されているすべての出願人について出願人上位ランキングなどを作成しました。

 非特許文献については、調査期間は、2000~2018年(発表年)に発表されたものとしました。技術区分別動向調査は抄録に記載されている技術内容を判別し、特許の場合と同様に技術区分表による技術区分付与を行いました。論文の国籍は、筆頭研究者の所属機関国籍としました。なお、研究者所属機関別論文発表件数や研究者別論文件数を算出する際には、論文記載のすべての研究者を用いてランキングなどを作成しました。なお、論文の分類に際しては、福祉用具に係る技術開発論文のみならず、福祉用具の効果を調べた報告についても解析の対象としました。