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通信速度・容量の増大化、コンピューターの処理能力の向上、通信部品・半導体チップの小型化や撮像機能付きの装置や端末などの利用の一般化に伴い、動画・静止画などの画像データが大量に取得されるようになってきた。また、人工知能を用いた画像処理により、これまで以上に新たな知識や価値が生み出され、様々な応用分野で問題を解決することが期待されている。特許出願の面では、応用する産業が特定された出願について、外国籍の件数が増加傾向にある一方、日本国籍の件数は同水準で推移している。日本による研究開発の蓄積が豊富な分野である、自動車・交通、医療・健康、工場・プラント分野において、実用化を推し進めるための研究開発に、より注力すべきである。

 通信速度・容量の増大化、コンピューターの処理能力の向上、通信部品・半導体チップの小型化や撮像機能付きの装置や端末などの利用の一般化に伴い、動画・静止画などの画像データが大量に取得されるようになっており、これらの画像データから得られる情報を活用する技術が望まれています。しかし、従来型の画像処理システムは、画像の特徴量の選択を人が発見的な手法で行っていたため、有効な特徴量を発見できなければ良好な結果が得られませんでした。

 近年、ディープラーニング(Deep Learning)という手法が脚光を浴びています。ディープラーニングを用いることによって、特徴量を人が選択することなく大量の画像データを直接学習することが可能となるため、精度の向上に有効です。また、人工知能(Artificial Intelligence、以下AI)を用いた画像処理により、これまで以上に新たな知識や価値が生み出され、様々な応用分野で問題を解決することが期待されます。

 このような背景の下、特許庁は「令和元年度特許出願技術動向調査」において、ディープラーニングをはじめとするAIを用いた画像処理に関する特許出願動向を調査し、その実態を明らかにしました。

 図1に、本調査において扱う技術である「AIを用いた画像処理」の定義を示します。

図1 本調査における「AIを用いた画像処理」の定義
図1 本調査における「AIを用いた画像処理」の定義
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 図2にAIを用いた画像処理の技術俯瞰(ふかん)図を示します。AIを用いた画像処理技術として、その「応用産業」、学習用データの準備から機械学習、学習結果の活用までの「対象技術」、実現における「技術課題」の3つの観点で整理しています。また、調査対象外であるが関連する技術についても、関連する他の技術として整理しています。

図2 AIを用いた画像処理の技術俯瞰図
図2 AIを用いた画像処理の技術俯瞰図
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