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 ロケット、人工衛星をはじめとする宇宙航行体技術は、これまで国家安全保障の観点や、製造物が宇宙にありリバースエンジニアリングができないため技術漏洩リスクが低い・特許侵害訴訟を提起され難いとの観点等から、特許出願が積極的になされない業界との共通認識が存在していた。しかしながら、海外のプレーヤーは近年特許出願を伸ばしており、特に欧米から日本に対する数多くの特許出願がなされている結果、日本のプレーヤーの出願割合が低く、国の宇宙活動やビジネスの自在性に対するリスクを抱えていることに危機感を持つべきである。日本の宇宙機関・企業は、宇宙業界における環境変化等に基づき、知財戦略を検討し、適切な特許の調査、出願、出願後の対応ができる体制の構築に取り組むべきである。

 特許庁「令和元年度特許出願技術動向調査」において、宇宙航行体に関する市場動向、政策動向、特許出願動向、研究開発動向等の調査を行い、その実態を明らかにしました。

 宇宙航行体技術は、主に、宇宙を航行するロケット、人工衛星及びそれらのエンジン、射台に関する技術です。宇宙航行体技術は官需が主要ではあるものの、近年、日本においても多くの宇宙航行体関連のベンチャー企業が活動しています。しかしながら、官民ともに宇宙航行体関連技術の知財戦略が十分ではないとの声もあり、宇宙基本計画工程表及び知的財産推進計画においては、宇宙分野における、政府機関・宇宙機関(JAXA:国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)・民間の全体の知財戦略の策定に向けて検討を行うとされており、昨年度末に取りまとめがなされたところです。

 このような背景のもと、特許庁では宇宙航行体に関する特許の動向を調査し、技術革新の状況、技術競争力の状況と今後の展望について検討しました。