全4844文字
PR

近年、自動車技術において、コネクテッドカーやコネクテッドカーの機能を利用した自動運転技術が注目されており、自動車とあらゆるモノを繋げる無線通信技術であるV2X(Vehicle to Everything)通信技術の研究開発や標準化が進められている。V2X通信技術には、一般的な無線通信技術の延長という側面と、自動車という特有の環境、特有のサービスへの適応が求められる技術という2つの側面がある。このため、一般的な無線通信システムにおいて挙げられる技術課題だけではなく、自動車が介在する無線通信システム特有の様々な技術課題を解決するための研究開発が必要となる。本調査では、通信要素技術や適応制御等の技術的観点に着目することで、こうしたV2X通信技術の研究開発の現状を明らかにし、今後の展望について検討した。

 近年、自動車技術において、コネクテッドカーやコネクテッドカーの機能を利用した自動運転技術が注目されており、これらを成立させるためには通信技術が必須となります。一般的に自動車と自動車との間での通信はV2V(Vehicle to Vehicle)、自動車と道路側のインフラとの間での通信はV2I(Vehicle to Infrastructure)と呼ばれます。その他、自動車と歩行者との間での通信はV2P(Vehicle to Pedestrian)、自動車とネットワークとの間での通信はV2N(Vehicle to Network)と呼ばれています。これらは総称してV2X(Vehicle to Everything)と呼称されます。V2Xとは、すなわち自動車とあらゆるモノを繋げる無線通信技術のことです。

 また、近年では、通信技術自体の低遅延化、高信頼化が進むとともに、V2X通信技術の開発や標準化が進みつつあります。こうしたことから、将来的にコネクテッドカーやコネクテッドカーの機能を利用した自動運転技術の実用化が進み、市場が拡大していくことが考えられます。

 このような背景の下、特許庁は「令和元年度特許出願技術動向調査」において、V2X通信技術に関する市場動向、政策動向、特許出願動向、規格提案動向、研究開発動向等の調査を行い、技術革新の状況や技術競争力の状況と今後の展望について検討を行いました。本調査の主要部分を本稿で紹介します。

 本調査の調査対象範囲を図1に示します。V2X通信技術について「通信要素技術」、「適応制御」、「通信対象種別」、「通信手段」、「課題」といった観点で整理しました。

図1 調査対象範囲を示す技術俯瞰図
図1 調査対象範囲を示す技術俯瞰図
(イラスト出典:総務省「Connected Car社会の実現に向けて(平成29年7月13日)」より転載加工)
[画像のクリックで拡大表示]