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自動運転の開発が活発化する一方で、ICT(Information and Communication Technology)を活用し、マイカー、シェアリングサービス、公共交通機関等の様々なモビリティーサービスを統合したMaaS(Mobility as a Service)が、近年特に注目されている。あらゆる交通手段を統合し、その最適化を図ることで、快適なサービスを提供することができるようになる。

 本調査においては、自動運転関連技術に関しては広範囲にわたり日本から多くの特許出願がなされていることが確認されました。しかし、MaaS 関連技術に関しては、中国や米国の存在感が大きく、特に、中国からは公共交通機関であるバス、タクシー、鉄道に関する出願件数が多くなっています。日本の公共交通は、鉄道、バス等の分野ごとに事業が形成されており、MaaS の前提となるカーシェアリングやオンデマンド交通をも含めたマルチモーダル連携構築が課題といわれていますが、マルチモーダル関連の技術区分では、中国の出願件数が最も多くなっています。

 自動運転技術をMaaSに活用した配車サービスなどの新しいサービスが既に米国などでも開始されています。MaaS 関連技術と自動運転関連技術との融合領域に位置する技術についての各国の動向にも注視していく必要があります。

 特許庁「令和2年度特許出願技術動向調査」において、「MaaS(Mobility as a Service)」に関する市場動向、政策動向、特許出願動向、研究開発動向等について、自動運転関連技術からの分析も含めた調査を行い、その実態を明らかにしました。

 自動車業界は、100年に一度ともいわれる大変革期を迎え、CASE「Connected(コネクテッド化)」「Autonomous(自動化)」「Shared/Service(シェア/サービス)」「Electric(電動化)」というキーワードによる技術革新が始まっています。自動車メーカー各社は、精力的に「Autonomous(自動化)」と「Electric(電動化)」に関する開発を進めており、特に自動運転では、限定条件下で運転機能をシステムにゆだねるレベル3以上の自動運転車両の開発計画を発表するなど、自動運転車両の開発が活発化しています。

 一方で、情報化の波が自動車にも及んでおり、自動車自体で完結する情報の活用にとどまらず、ICT(Information and Communication Technology)を活用し、物や人が繋がる「Connected」な社会の一部に自動車が位置付けられています。これらを応用するビジネスとして、マイカー、シェアリングサービス、公共交通機関等の「Shared/Service(シェア/サービス)」の様々なモビリティーサービスを統合したMaaSが、近年特に注目されています。あらゆる交通手段を統合し、その最適化を図った上で、マイカーと同等かそれ以上の快適なサービスを提供するものです。