全4953文字

 近年、患者のQOL(Quality of Life:生活の質)向上に寄与する手術支援ロボットの技術は、目覚ましい発展を遂げており、手術支援ロボットの世界市場規模は、今後の拡大が見込まれている。このような背景の下、「令和3年度特許出願技術動向調査」において、手術支援ロボットに関する特許出願動向などの調査を行った。手術支援ロボットに関する全体的な特許出願は、米国籍出願人によるものが多く、またデータの活用、自動化・半自動化などに関連する特許出願が増加の傾向にあることが確認された。今後のさらなる発展に向けて、事業化視点を持った研究開発、競争優位性を確保する戦略、医師のニーズを捉えるとともにスピード感のある研究を行える環境、人材の育成が重要である。

 人の手に代わって手術を支援する手術支援ロボットの技術は、近年目覚ましい発展を遂げています。こうした発展は、施術精度の向上、低侵襲手術による入院日数の短縮、術後合併症の発生率低減などにより患者のQOLの向上に寄与しています。

 マスタースレーブ型の手術支援ロボット1は、米国大手企業が取得した初期の特許が存続期間の満了を迎えたこともあり、多くの企業で手術支援ロボットの開発・商品化が行われています。また、マスタースレーブ型の手術支援ロボットの他にも、術者の肉体的負担の軽減や、安全性や精度の向上を目的として、手術を補助する術者支援型ロボットや、人工知能に代表される最新技術を適用した自律性の高い手術支援ロボットの研究開発も進められています。

1 術者(執刀医)の操作(一次装置:マスター)を患者側の機器(二次装置:スレーブ)で再現する手術支援ロボット。

 本調査の調査対象範囲となる技術を俯瞰(ふかん)したものが、図1の技術俯瞰図になります。本調査においては、「全体構造」、「構成要素(ハードウエア)」、「制御技術(ソフトウエア)」、「関連技術」、「課題」、「用途・対象」といった大きな分類を設けるとともに、大きな分類を細分化した分類(例えば、「全体構造」であれば、「術者支援型」などが細分化した分類)を設けた上で、調査を行っています。

図1 手術支援ロボットの技術俯瞰図
図1 手術支援ロボットの技術俯瞰図
[画像のクリックで拡大表示]