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本記事は、日本機械学会発行の『日本機械学会誌』、第121巻第1195号(2018年6月)pp.8-11に掲載された「ユーザーエクスペリエンスの課題と測定」の抜粋(短縮版)です。日本機械学会誌の目次、購読申し込みなどに関してはこちらから(日本機械学会のホームページへのリンク)

「ユーザーエクスペリエンス」は「使いやすさ」とは別の概念

 ICT (Information Communication Technology)の領域において、従来のハード/ソフト製品やネットワークで構成された情報システムだけでなく、インターネットなどを用いた情報サービスも注目されている。これらには「利用できる」「使いやすい」などのユーザビリティー観点に加え、「使いたくなる」などの新しい経験や価値も求められている。一般にこの「新しい価値や経験」を、ユーザーエクスペリエンス(User Experience、以下UX)と呼ぶことが多い。ユーザビリティーとUXを比べると、前者は「品質」として後者は「価値」として扱われる、全く別の概念である。

 ユーザーエクスペリエンスという言葉は、ある製品やサービスを利用・消費したときに得られる体験を意味し、「個別の機能や使いやすさのみならず、ユーザーが真にやりたいことを楽しく、心地よく実現できるかどうかを重視した概念」と定義されている。一部で「楽しく、心地よく」のイメージが先行し、面白そうなユーザーインターフェース(UI)をUXと表現していたが、本質は――

・ユーザーが製品やサービスの利用前に実際の利用場面をイメージできるようにすること

・ユーザーが自分のイメージ通りに利用できることを確認すること

・ユーザーが真にやりたいことが実現できているか判断すること