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 2018年5月に横浜で開催された、「人とくるまのテクノロジー展」でのことだ。技術コンサルのFEVのブースの前を通った時、エンジンと共に掲げられた大きなパネルが目に留まった。それは、ホンダ・シビックに搭載されている1.0L3気筒はFEVが開発したことを示しているものだった。

 あのホンダが、パワーユニット1基の開発全てを外部に委託したことも驚きだったが次の瞬間、よくこの情報を公開できたものだということに気がついた。ブースに居た男性に、思わずそう質問してしまった。

 「異例ですよ、これまで開発を依託されたことを公開できることなんて、まずありませんでした。我々は、国内のすべての自動車メーカーと取引させていただいています。けれども、個々の案件に関して公開できる情報はほとんどありません」。

FEVのブースに展示されたホンダ・シビックに搭載される1Lの3気筒ターボエンジン。ホンダがエンジンの開発をまるごと依託、しかもそれを公表できるとは。技術コンサルのポジションも確実に変化している。
FEVのブースに展示されたホンダ・シビックに搭載される1Lの3気筒ターボエンジン。ホンダがエンジンの開発をまるごと依託、しかもそれを公表できるとは。技術コンサルのポジションも確実に変化している。
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 そう答えてくれたのはFEVの細谷氏。ヤマハ発動機でエンジン設計などに携わり、その後リカルド、ALV、FEVと技術コンサルを渡り歩いてきたエンジニアである。

 すべてのメーカーと取引があるということは、何らかのエンジン開発を受託していることがある上で、守秘義務によりそれらが一切、公にされることはないのが普通なのである。それをホンダ、しかもF1マシンのパワーユニットを開発している真っ只中で、エンジン開発を外注していることを明らかにしているのだ。

ガソリンエンジンを改善するためのデバイスを全て盛り込んだFEVの展示モデル。可変圧縮に二段過給を組み合せ、ウォーターインジェクションまで搭載。48Vシステムは当然のように搭載し、直噴によるPMも除去するGPFを備えることを提案している。
ガソリンエンジンを改善するためのデバイスを全て盛り込んだFEVの展示モデル。可変圧縮に二段過給を組み合せ、ウォーターインジェクションまで搭載。48Vシステムは当然のように搭載し、直噴によるPMも除去するGPFを備えることを提案している。
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 「ホンダは開発部門のトップが交代するような時に、こういう大胆な出来事が起こるんですよ」。

 しかし細谷氏によれば、開発を外注していることよりも、エンジニアを育てる余裕がないことの方が問題だと言う。「だからウチでは若いエンジニアに出向してもらって、一緒に開発を行なうんです。そのために部屋を用意しています」。

 自動車メーカーよりも研究開発の機材が豊富な環境の元で、開発を依託するだけでなく、若いエンジニアがノウハウを吸収できるのだ。これは技術コンサルの新しいビジネスモデルへと発展する可能性がある。

 ハイブリッドのための電動パワートレインも展示していたが、エンジンの可能性もまだまだ捨ててはいない。

 エンジン単体でも効率を高める可変圧縮比に2段過給+ウォーターインジェクション、さらに48Vシステムによるマイルドハイブリッドまで搭載し、直噴の排ガス浄化にGPFを採用している。これら個々のシステムを組み合せてのエンジン開発が可能であることをアピールしているのだろう。

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