PR

 樹脂の高機能化は、このところ少し落ち着いた感があった。むしろセルロースなど自然由来の素材や、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーの短繊維を練り込むなど、添加する材料によって特性を改善する傾向が見られるくらい成熟した印象がある。

 しかし、2018年5月開催の「人とくるまのテクノロジー展」では、新たな樹脂の可能性を感じさせる展示を複数見つけた。その一つが熱伝導樹脂を使った放熱性の高い樹脂部品の提案だ。

 これまで樹脂は金属に比べ熱伝導が低いことがメリットの一つとして採用されてきたケースが多い。ところが、樹脂化が当たり前になると、従来の樹脂では望めなかった機能が期待されるようになったり、電装品のモジュール化や省電力化、信頼性の向上やメンテナンスフリー化を図るために冷却性を確保する必要が出てくる。こうして熱伝導の高い樹脂の要望が高まっているのだ。

 山下マテリアルのブースでは、いくつもの樹脂とアルミ合金で放熱性を比較した展示がされていた。PCやPPS、PA6、PBTなど様々な樹脂ベースで放熱プラスチックは用意されているが、絶縁性プラスチックは熱伝導が低く、非絶縁性は熱伝導が高い傾向にあるそうだ。

山下マテリアルの熱伝導樹脂。裏側に熱源があり、放熱性が高い素材ほど表面の温度センサーの数値が低くなる。下段中央のPA6ベースの熱伝導樹脂は、右下のアルミ合金とそれほど変わらない温度を表示している。
山下マテリアルの熱伝導樹脂。裏側に熱源があり、放熱性が高い素材ほど表面の温度センサーの数値が低くなる。下段中央のPA6ベースの熱伝導樹脂は、右下のアルミ合金とそれほど変わらない温度を表示している。
[画像のクリックで拡大表示]

 密閉性を高める封止材に熱伝導シリコーンを用いれば、内部の基盤などが発生する熱をモジュールのケース表面で放熱させることも可能になる。

 CFRPについては岡山のラピートが、カーボンファイバーを練り込んだ熱可塑性樹脂を使ったCFRTP製ホイールを展示していた。金型に板状の樹脂を置き、熱圧縮成形によりワンピースを実現している。純正のアルミホイールに比べほぼ半分の重量となるほか、JWLの強度試験もクリアするほどの強さも実現しているそうだ。

[画像のクリックで拡大表示]
ラピートのCFRTP製ホイール。素材はPPにカーボンファイバーを練り込み厚板状にしたもので、金型に素材を置いて加熱しながらプレス成形する。20分ほどで1本のホイールが製作可能だ。
ラピートのCFRTP製ホイール。素材はPPにカーボンファイバーを練り込み厚板状にしたもので、金型に素材を置いて加熱しながらプレス成形する。20分ほどで1本のホイールが製作可能だ。
[画像のクリックで拡大表示]

この記事は有料会員限定です

日経クロステック有料会員になると…

専門雑誌8誌の記事が読み放題
注目テーマのデジタルムックが読める
雑誌PDFを月100pダウンロード

有料会員と登録会員の違い