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 SUV(多目的スポーツ車)の英老舗メーカー、ランドローバーのデザインを統括するジェリー・マクガバン氏が2019年11月、新型「ディフェンダー」の披露をかねて来日。1948年に誕生して以来、世界のオフロードを走破してきたディフェンダーを、21世紀にフルモデルチェンジさせた背景を語った。

新型ディフェンダー90
新型ディフェンダー90
(写真=LandRover)
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 ランドローバー・ディフェンダー初代の誕生は、第2次大戦終結まもない1948年。当時はジャガーをしのぐ高級車ブランド、ローバーの技術者だったモーリス・ウィルクスが、自分の農場で乗るクルマとして「米国のジープよりよいものを」と考えてスタートさせたプロジェクトだった。

 終戦後の英国には、仕事にあぶれた航空エンジニアと、航空機のために研究されたアルミニウム技術が残っていた。そこで、軽量化に寄与し、かつサビにも強いアルミニウムを車体に使ったクロスカントリー型4WDとしてディフェンダー(1991年まではホイールベースの長さに基づく”90”と”110”がたんなる車名だった)が開発された。

 ランドローバー・ナインティ(90)とワンテン(110)は、英国をはじめ、英連邦に所属する国を中心に人気を博した。戦後英国を代表する作家の一人であるグレアム・グリーンも自作に、ランドローバーを深く愛する人物を登場させているほど。トヨタ自動車の「ランドクルーザー」とは多くの市場で競合関係であり続けてきた。

ジャガーランドローバーのボードメンバーであり、デザイン戦略を担当するマクガバン氏
ジャガーランドローバーのボードメンバーであり、デザイン戦略を担当するマクガバン氏
(写真=LandRover)
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 「いま私たちは変革の真っ只中にいます。10年前のランドローバーは4WDのスペシャリストだったが、いまはグローバルパワーブランドへ向かっている。顧客に愛されることを目指すという点では変わらないが、ディフェンダーの役割はある程度変わってきている」

 2003年にランドローバーブランドのアドバンストデザインのディレクターに就任し、やがてデザイン統括という要職に就いたマクガバン氏。チーフデザインオフィサーの立場から、「ディスカバリー4」(2009年)をはじめ、現行「レンジローバー」(2012年)や「レンジローバースポーツ」(2013年)を送りだしてきた。

 もうひとつ、マクガバン氏の功績は、「レンジローバー・イヴォーク」(2011年)を開発したことも挙げられる。新世代レンジローバーと並行して開発された初代イヴォークは、全長4.4メートルを切るサイズで、ラグジュリーコンパクトSUVというジャンルを確立した。

 同時にイヴォークは、クーペライク(クーペ的)と言われる前後長の短いルーフと、極端にくさび型を強調したウェッジシェイプのプロファイル(側面からの姿)は、自動車デザイン史に残る画期的なスタイルと、さまざまなメディアで高い評価を受けた。