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 イタリアのスポーツカーメーカー、フェラーリが「ローマ」と名づけた新型車を発表した。1000馬力のハイブリッドスポーツカーを発表するなど高性能路線まっしぐらと思われた同社だが、ローマは「エレガントで、控えめで、街乗りにも適したモデル」と位置付ける。

 「フェラーリ・ローマ」のジャーナリスト向けのお披露目は、2019年11月14日にローマ市内で行われた。1960年開催のローマ五輪のために建設された「スタジオ・オリンピコ・ディ・ローマ」に隣接した特設会場に世界中からジャーナリストが集まったのだ。

 新型車「ローマ」の驚きは、これまでのフェラーリの路線とは正反対ともいえるコンセプトを採用したこと。2019年、フェラーリは5台のニューモデルを発表。夏から秋にかけては、720馬力のミッドシップカー「F8トリブート」や、さらにその上をいく1000馬力のプラグインハイブリッド4WD「SF90ストラダーレ」が話題を呼んだ。

「フェラーリ・ローマ」の発表風景
「フェラーリ・ローマ」の発表風景
(写真:Ferrari)
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 流れをかんがみると、これらの布陣は納得いく。フェラーリは、ポルシェやランボルギーニやマクラーレンといったハイパースポーツカーのメーカーと渡り合い、市場でのシェアをなるべく多く獲得することを狙っているだろうからだ。ところが「ローマ」は路線が異なる。

 「ベネト通りをフィアットでなくフェラーリで気楽に走りたいというオーナーの声に応えて、毎日乗れるモデルとして開発した」。そう語るのは、フェラーリ社でチーフ・マーケティング&コマーシャル・オフィサーを務めるエンリコ・ガリレア氏だ。発表会の会場で、クルマの紹介も担当した。

 「フェラーリ・ローマのスタイリングは、1950年代から60年代にかけてのローマ(街)における自由なライフスタイルの再解釈だ」

ローマをテーマにしたモデルなので、スペイン広場(背後には山の上の三位一体教会を意味するトリニタ・ディ・モンテ教会)で写真が撮られている
ローマをテーマにしたモデルなので、スペイン広場(背後には山の上の三位一体教会を意味するトリニタ・ディ・モンテ教会)で写真が撮られている
(写真:Ferrari)
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 ガリレア氏の言葉に出てきたベネト通りとは、高級ホテルやレストランのあるローマの目抜き通りの1つで、1960年に公開されたフェリーニ監督の映画「甘い生活 La Dolce Vita」の舞台になった場所でもある。「フェラーリ・ローマ」のコンセプトも、「La Nuova Dolce Vita」。新しい甘い生活と紹介された。

 上記のコンセプトは、意外だった。ただし考えてみると、「ポルシェ911」「マクラーレン570GT」「アストンマーティンDB11」といったモデルは市場では人気が高い。どれも高性能と快適性とスタイリングをバランスさせたGTだ。

全長4656ミリ、全高1301ミリのクーペボディーのフロントに3855ccV8ターボエンジン(最高出力456kW@5750-7500rpm、最大トルク760Nm@3000-5750rpm)が搭載され後輪を駆動する
全長4656ミリ、全高1301ミリのクーペボディーのフロントに3855ccV8ターボエンジン(最高出力456kW@5750-7500rpm、最大トルク760Nm@3000-5750rpm)が搭載され後輪を駆動する
(写真:Ferrari)
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 「フェラーリ・ローマ」は、側面から見たときの流麗な輪郭とカーブが美しいウインドーグラフィクスが目をひく。エレガンスの点では競合車の上をいっている印象だ。車体に目立った空力的付加物を持たず、ゆたかなふくらみを強調された面づくりが特徴的である。

 全長4656ミリの車体のフロントに、3855ccのV型8気筒ターボエンジンを搭載した後輪駆動という点では、従来のラインアップにある「フェラーリ・ポルトフィーノ」と同じだ。ただし部品の70パーセントは新設計といい、エンジン出力も「ポルトフィーノ」の441kW(600ps)から456kW(620ps)に上がっている。

 「フェラーリ・ポルトフィーノ」は格納式ハードトップを持つ。2008年に発表された「フェラーリ・カリフォルニア」で採用されたコンセプトをベースにしており、14年に3855ccV8ターボエンジンの「カリフォルニアT」へと発展し、17年にエンジンを含めて基本コンセプトを踏襲した現在の「ポルトフィーノ」となった。

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