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BMWの現行3シリーズを分解した*。BMW3シリーズは、同社の基幹車種であり、欧州を中心とした世界の部品で構成していることが分かった。今回はパワートレーンとボディーについて報告する。
* ひろしま産業振興機構カーテクノロジー革新センターが運営するベンチマーキングセンター利活用協議会が、広島国際学院大学自動車短期大学部(広島市安芸区)で実施したもの。
新設計エンジンとZF製8速AT
7代目である現行3シリーズの中で、今回の対象車種は、セダンの「320iMスポーツ」日本モデルである(図1、2)。
パワートレーンは、2.0Lガソリン直噴直列4気筒ターボエンジンを搭載。燃料噴射圧は従来型から200bar高い350barになり、燃焼室にはより細かい噴霧を実現して燃焼効率を高めた。クランクシャフトは軽量化した(図3)。分解した車両は、道路事情などを考慮して専用設定されたことで、最高出力は135kW(184PS)、最大トルクは300N・mとなる。
エンジン周りの個々の部品を見ていく。ガソリンエンジンには、排気の流路を2系統に分けてタービンを作動させるツインスクロール式ターボチャージャーを採用する。2018年に米ハネウェルから独立した米ギャレットモーション製で、生産地はルーマニアである(図4)。
8速ATは、ZFグループ製である(図5)。変速機のケーシングは、ベトナムの金属鋳造製品メーカーであるユーロキャスト工業(EuroCast JSC)製。ドライブシャフトは、英国GKN製で、生産地はドイツである。