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 ドイツBMWは、FF(前部エンジン・前輪駆動)車の比率を上げており、細かな作りわけでモデルごとの差異を出すことに注力している。

 日本では2019年11月発表の新型「2シリーズグランクーペ」の海外試乗会が、2020年2月にポルトガル・リスボンで開催された。

 ミュンヘン本社からやって来たエンジニアたちは「デザインだけが自動車のキャラクターを決める手段ではない」と語る。

 BMWといえば、1961年の「1500」に端を発するスポーティーなセダンづくりを進めてきた。押しも押されもせぬブランドになったのは、1975年の初代「3シリーズ」からだ。

図1 BMWの新型「2シリーズグランクーペ」
図1 BMWの新型「2シリーズグランクーペ」
全長4540×全幅1800×全高1430mm。(出所:BMW)
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 フロントエンジンと後輪駆動の組み合わせであるFR(前部エンジン・後輪駆動)がBMWの象徴だったものの、1994年にローバーグループを買収した後、2001年から新ブランド「MINI」をスタートさせたときから、前輪駆動車を傘下に持つようになった。

 BMWブランドでの前輪駆動は、2014年の「2シリーズアクティブツアラー」と「同グランツアラー」というクロスオーバー車から始まった。最近では2019年に登場した新型「1シリーズ」が前輪駆動化されて話題を呼んだ。

 自動車マニアでない人なら、「前輪駆動だろうが後輪駆動だろうが、どんな違いがあるのか?」と言いたくなるかもしれない。駆動輪が前か後かで、ステアリングホイールを切ったときの車体の動きを中心としたドライブフィールは変わるが、街乗りでは、それほどの違いはないだろう。

 前輪駆動は、フランスのシトロエンが戦前から手がけており、それなりにメリットがある。例えば、パッケージングといって、メカニズムに割くスペースが少なくて済むとか、後輪へと動力を伝達するドライブシャフトが省略できるとか、あるいは、滑りやすい路面でコントロールしやすいといったことが思いつく。

 ドイツでも、フォルクスワーゲンやアウディなどは、1970年代から採用している技術である。そこにあって、(ついに)一部の小型車を前輪駆動化したBMWが手がけた新型「1シリーズ」に乗ったときは、とてもいい出来で感心した。

図2 2シリーズグランクーペのサイドビュー
図2 2シリーズグランクーペのサイドビュー
AWDシステムは低負荷では前輪に100パーセントのトルクをかけるが、路面状況や運転によって最大で前後50対50までトルク配分を変える。(出所:BMW)
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