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 今、「アフターコロナ」の時代を見すえた活動が企業にとって重要な課題となっている。自動車産業と密接な関係にあるモータースポーツでも同様だ。「ルマン24時間レース」も2020年6月に、新しい形での開催となった。

 「バーチャル・ルマン24時間(24 Hours of Le Mans Virtual)」と題された6月のレースは、いわゆる「eモータースポーツ(e-Motorsports)」である。フランス南西部ルマンのサルテサーキットではなく、参加チームはオンライン上で対戦した。

シムレースとなった2020年6月のバーチャル・ルマン24時間レースの画面
シムレースとなった2020年6月のバーチャル・ルマン24時間レースの画面
(出所:トヨタ自動車)
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 “リアル”のルマン24時間と同様、FIA(国際自動車連盟)公認である。F1からGTまで数多くの選手権について、競技ルールや技術規定を統括するFIAでは、「FIA GT チャンピオンシップ」と呼ばれるオンライン選手権を認可しているのだ。

 バーチャルだが、実際に24時間かけて争う今回のレースでは、「rFactor2」が採用された。ニュルブルクリンクやシーブリング、そしてルマン24時間のコースが用意されているレーシング用シミュレーター(シム)である。

 自動車メーカーやレースチームは、これまでにもrFactor2をはじめとするレースシムを車両開発の一部や、レース前のコース習熟に活用してきた。シムレースでコースを覚えたルーキーが、実際のレースでいきなり好成績、というのも珍しくなくなってきている。

今回のバーチャル・ルマンレースはレースシム「rFactor2」を使用
今回のバーチャル・ルマンレースはレースシム「rFactor2」を使用
(出所:トヨタ自動車)
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 バーチャル・ルマン24時間には、18年と19年のルマンを制したトヨタ自動車の「TOYOTA GAZOO Racing」や、「LMP(ルマンプロトタイプ)1」クラスでの強豪「レベリオン」(今回はレベリオン・ウィリアムズeスポーツ)が参戦した。

 さらに、「ポルシェ」「フェラーリ」「アストンマーティン」「コーベット」といった「LMGTE」プロクラスでの常連も。トータルで50台がエントリーした。シムレースではあるが、TOYOTA GAZOO Racingの小林可夢偉らプロドライバーもシミュレーターのステアリングホイールを握った。

レース中の小林可夢偉選手
レース中の小林可夢偉選手
(出所:トヨタ自動車)
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 トヨタ自動車は、「eモータースポーツをTOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツ活動の柱の1つとする」と標榜している。

 バーチャル・ルマンに先立つ20年5月には、「プレイステーション4(PlayStation4)」用ソフトウエア「グランツーリスモSPORT」を使い、スバルとともに車両を走らせ、「e-Nurburgring Race」なるオンラインイベントを実施した。ほかに「GR Supra GT Cup」もある。