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 トヨタ自動車が、車両の衝突事故における人体傷害をコンピューター上で解析できるバーチャル人体モデル「THUMS」(サムス:Total HUman Model for Safety)を 2021年1月から無償公開すると発表した(図1)。

図1 トヨタのバーチャル人体モデル「THUMS」
図1 トヨタのバーチャル人体モデル「THUMS」
2021年1月から無償で公開する。(出所:トヨタ自動車)
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 THUMSは、2000年当時に世界初となる、車両衝突時の全身の傷害をデータを基にコンピューターによって再現・解析可能とした人体モデル。トヨタと豊田中央研究所が共同開発した。2019年に公表した最新仕様の「バージョン6」まで、人体の骨格・脳・内臓、全身の筋肉を組み込む一方、性別・年齢・体格の異なる様々なモデルを追加するなど、進化してきた(図2、3)。

図2 THUMS開発のあゆみ
図2 THUMS開発のあゆみ
(出所:トヨタ自動車)
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図3 年齢の変化に基づいたTHUMSの「バージョン4」の歩行者モデルと乗員モデル
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図3 年齢の変化に基づいたTHUMSの「バージョン4」の歩行者モデルと乗員モデル
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図3 年齢の変化に基づいたTHUMSの「バージョン4」の歩行者モデルと乗員モデル
(出所:トヨタ自動車)

 これらの研究開発には、医療機関との協力体制が不可欠だったことはいうまでもない。研究開発がスタートした2000年発表の「バージョン1」開発では、整形外科などの医療機関から解剖学的な情報の提供を受け、その後の「バージョン5」では個人情報などを明かさない条件で、CTスキャンによる人体内部ともに筋肉の画像データを入手する取り組みを続けてきた(図4)。

図4 運転者の姿勢 
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図4 運転者の姿勢 
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図4 運転者の姿勢 
人体内部の構造を精密に再現した「バージョン5」の人体モデル。(a)身構えた状態。右足でブレーキを踏んでいるのが「見構え」状態である。(b)平常状態。バージョン5の開発にあたっては、大学病院などが保有する全身のCTスキャン画像データを提供された、様々な年齢・性別・体格・姿勢の人体構造(骨格・脳・内臓など)をモデル化した(無償公開対象は Version4/5/6)。筋肉モデルなどを追加した「バージョン5」では、 ドライバー(乗員)が急ブレーキを踏む際に身構えることで、事故前後で脱力した状態とは姿勢変化の大きさが異なるに注目。衝突前の身構え状態(左)も含めた乗員の姿勢変化を模擬することが可能となった。(出所:トヨタ自動車)