全1757文字
PR

 ドイツ・ポルシェ(Porsche)の「911」は、1964年の誕生以来、その基本構想を変えないGTカーといえる。初代以来のリアエンジン・リアドライブ(RR)という駆動方式を守り続けているのである。

初代からのリアエンジン・リアドライブを継承する911
初代からのリアエンジン・リアドライブを継承する911
(撮影:著者)
[画像のクリックで拡大表示]

 最新の「911カレラS(Carrera S)」に試乗した。ドアを開け、まず印象的なのは、よりデジタル化された運転席だった。ダッシュボードの5連メーターは従来通りだが、それらが液晶のデジタル表示となり、さまざまな情報を示す中に、カーナビゲーションの地図さえもメーター部分に表すことができる。シフト操作は、かつてのレバーの形状から小型のスイッチ的な操作部となっている。ダッシュボード中央は、カーナビゲーション画面のほかに「ポルシェ・コネクト」と呼ばれるサービスの表示部にもなる。

デジタル化と情報化を進めた運転席
デジタル化と情報化を進めた運転席
(撮影:著者)
[画像のクリックで拡大表示]

 時代とともに、GTカーやスポーツカーもデジタル化、情報化されている様を実感させられた。

 エンジンは、水平対向6気筒のガソリンツインターボで、これにツインクラッチ式の8速AT(自動変速機)が組み合わされる。一般にDCT(デュアルクラッチ変速機)と呼ばれる方式だが、ポルシェではドイツ語表記の頭文字をとった「PDK」と名付けられる。エンジンの最高出力は450PSで、最大トルクは530N・m、最高速度は時速308kmである。

リアエンジンの様子は、ほとんど見えない
リアエンジンの様子は、ほとんど見えない
(撮影:著者)
[画像のクリックで拡大表示]

 高性能な諸元を目にすると運転する前から緊張しそうだが、911のすごさは、日常的にごく普通に運転できるクルマであることだ。

 イグニッションは、ステアリング右側のスイッチを回転させる。操作は鍵を回した時代と同じで、ボタンスイッチを押すなどへの変更はない。実は、レーシングマシンでもポルシェは伝統的に鍵を回して始動する手法を用いてきた歴史がある。

イグニッションは、鍵を用いた時代のようにこのスイッチを回転させて操作する
イグニッションは、鍵を用いた時代のようにこのスイッチを回転させて操作する
(撮影:著者)
[画像のクリックで拡大表示]

 エンジンが始動する瞬間、ブオオ~ンッと猛烈な排気音を出し、これはアイドリングストップからの再始動でも同様だ。しかし、以後は実におとなしい排気音で、市街地の運転でも周囲を気にすることはない。

 市街地を運転しながらつくづく実感したのは、アクセル、ブレーキ、ステアリングの各操作に対し、1対1でクルマが的確に応答することであった。踏んだだけ利き、回しただけ動く。当たり前のことのように思えるかもしれないが、実は世の中のほとんどのクルマがそうした運転操作に若干の遅れを伴い応答する。たとえばアクセルペダルを踏み込んでもすぐ加速しないので、踏み込みを足したりするのと同じようなことを、ブレーキやステアリング操作でも人は調節しながら運転している。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
日経電子版セット今なら2カ月無料