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【質問2】契約改定によって、クラウドサービスのビジネスにどのような影響が及ぶと思われますか? 
【回答】大きな影響は無いだろうが、問題は自動運転への影響ではないか

 クラウドサービス用のデバイスは、米インテル(Intel)が2.5D集積構造で「Xeon」+FPGAを推しており、GPUだけではない。また独自にプロセッサーを開発している会社もあり、GeForceがどのくらいのシェアか分からないが、比較的少ないのではないかと推測するからである。東京工業大学のスーパーコンピューター「TSUBAME」もTeslaを採用しており、ゲーム機用デバイスを流用するのは怖くてできない。

自動運転では

 そこで懸念されるのが自動運転分野である。衝突回避のための画像処理などGPUは主役のような役割を担っているが、システムは必要な信頼性を確保できているのだろうか。かつての経験では自動車メーカーは品質に非常に厳しく、一度評価を終えた製品は一切プロセスの変更を許さずコストダウンができない。プラットフォームが次世代に変わるまで数年間以上工場をそのまま維持するしかなく、半導体テクノロジーマイグレーションとは別の動きをするので利益が出にくい。そこまでサプライヤーに無理させても品質管理するのが自動車業界だった。

 ところが、電気自動車(EV)になると自動車を生産するノウハウを十分に持たずサジ加減も分からない企業も何かを武器に(価格、一回充電での航続距離、自動運転機能、ネットコネクティビティー、デザインなど)参入する可能性がある。信頼性は見ただけでは分からないし、タイム・ツー・マーケットを考えると時間も掛けないだろう。安い民生用部品を使い(現にガソリンではノーブランド・スタンドもあるくらいだから)スマートフォンに動力を付けたような装置が自動車と呼べるのかとも思うが、EV市場ではこれまでの常識で物ごとを判断すると取り残されかねない注3)

 このような中で、自動運転(衝突回避も含む)に使われるGPUの信頼性に関して、突然「これはオートモーティブ・グレードではないから」と言われたら困る。自動車用は使用可能温度範囲が広く、実際に必要かどうか別として-40℃が要求される。低温試験は案外難しいのだが、ノウハウを持っていない新規参入組がどうするのか、あまり議論を聞かない。今回の件を機に気になり始めた。自動車、そして恐らくFinTech関係(広い意味ではAIクラウドサービスに入る)でも使用デバイスやサプライヤーの見直しが起こるのではないか。

■注釈
注3) 日本では車検制度があるため安心感を持てる一方で、車検で信頼性をチェックできるとは思えない。また、認可制度が海外からは参入障壁だと批判対象になり、それどころか日本の企業にとっても完全自動運転など未知分野実用化への阻害要因と見なされている。日本は先端医療でも薬でも何でも海外実績を見て認可される傾向があるので、安心と引き換えに産業の成長では「失われた何年」を続けてしまうようである。