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【質問2】新しいaiboの事業は、将来的にソニーの業績を直接押し上げる実利を生み出す可能性があると思われますか? 
【回答】短期の実利より長期にエンターテインメント・ロボット産業を立ち上げて見せるという夢と覚悟を持て

 実利を生み出す可能性があるとかないとか論ずるのは外野に任せておいて、ソニー技術陣は、無限の可能性を秘めたエンターテインメント・ロボット産業を自ら立ち上げるんだという覚悟と夢をもって、死ぬ気になって頑張ってほしいものだ。

 初代AIBO開発責任者の土井氏はAIBOに続いて、さらに難易度の高い2足歩行の「QRIO」の商品化にめどを付け、「ロボットを21世紀に最初に立ち上がる産業にして、ソニーはそのトップを走る」と夢をメディアに語っている6)。AI技術を駆使して、ネットにもつないで、ロボットを21世紀の成長産業にしようと夢見る革命家が過去にはソニー社内にいたのだ7)

 残念ながら、質問3の回答に記した社内の確執で土井氏の夢は挫折してしまったが、もしも続けていたら、今ごろソニーは欧米IT企業を凌駕(りょうが)した世界一のAI/ロボット企業になっていたかもしれない。今からでも遅くはない。失われた12年を取り戻して、AIとロボット技術を結集して、新たな産業を創成してほしいものだ。

 ところで、aiboは本体価格19万8000円と宣伝されているから、それだけ払えばすぐ使えると思っている人が多い。しかし、実はそれに加えて、サービス使用料9万円(3年間、必須)に加えて修理保証に相当するケアサポート料が5万4000円(3年間、任意)もかかる。保証期間はわずか30日だから、ケアサポート料を払っていなければ1カ月過ぎて故障したら修理は有料になるし、見るからにソニータイマー問題が再燃しそうな華奢(きゃしゃ)なつくりだから、3年間安心して使うには合計34万2000円も必要だ。

 初代AIBOは、医療機関で自閉症の子供や痴ほう症、孤独な老人のセラピーツールとして最適という予想外の評価を受け、社会的な意義が見出された。しかし、こんなに高価では、子供はおこづかいを貯めても買えず、老人は年金をはたいても買えない。世界初の有機ELテレビ「XEL-1」同様、新しいもの好きの熱狂的ソニーファンや何らかの目的をもってリバースエンジニアリングしようとする人たちに一巡したらそれで終わりになりかねない。「iPhone X」もスマホの適正価格より高すぎて、一巡したら売り上げが急激に落ち、生産計画の大幅見直しを迫られている。今のaiboは短期的な実利を優先しすぎて、土井氏のような長期ビジョン6)を描けていない気がする。

■参考文献
6)「「21世紀に立ち上がる最初の産業はロボット」、ソニーの土井氏」 日経テクノロジーオンライン、2003年5月23日
7)服部毅、 [テクノ大喜利【新時代を迎えるロボット産業と半導体】現状のロボットは機械が主で電子が従、ただし人工知能で主従は逆転]、日経テクノロジーオンライン、2015年8月15日